人々を笑わせ、考えさせるユニークな研究に贈られる今年の「イグ・ノーベル賞」が発表され、「電気を流した箸やストローで食品の味を変える実験」により、明治大学総合数理学部の宮下芳明教授と東京大学大学院情報学環の中村裕美特任准教授が「栄養学賞」を受賞した。日本人のイグ・ノーベル賞受賞は17年連続となった。

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    食品の味を変える箸をもつ宮下芳明・明治大学教授(左)とフォークを持つ中村裕美・東京大学特任准教授(いずれも本人提供)

舌に電気が流れると酸っぱいか金属っぽい味がする。宮下教授は、四角い電池の電極をなめた経験に触発されて、電気で味覚を変える研究を始めた。2011年に明治大学大学院博士前期課程に在学していた中村特任准教授と、「電気を使った拡張味覚」という英論文を発表。微弱な電流を流すストローや箸、フォークを使うことによって舌での電流の流れ方次第で、飲み物や食べ物の味が増強されることなどを示した実績が評価された。

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    オンラインで実施された授賞式。中央が中村裕美・東京大学特任准教授、右が宮下芳明・明治大学教授。左下のプレゼンターは1996 年にノーベル生理学・医学賞を受賞したピーター・ドハーティー氏(イグ・ノーベル賞のウェブサイトより)

授賞式はオンラインで9月14日(米東部時間)に実施され、中村特任准教授は「電気味覚は新しい味覚をつくることに貢献すると思う。栄養価がないのでウェルネスと健康のバランスをとることができる」と話した。宮下教授は「今後の電気味覚技術や任意の味を再現する味覚メディア技術への期待も込められた受賞だととらえて、これからも研究を推進したい」とコメントした。

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    塩味を増強させる椀とスプーン(宮下芳明・明治大学教授提供)

宮下教授は、キリンホールディングスとの共同研究を行っており、食塩を30%低減させた減塩食を微弱な電流を流した箸を用いて食べると塩味が増強することを実証。開発した電気刺激波形では塩味が1.5倍程度増強することを示している。この技術を使った塩味を増強させる椀やスプーンがすでに開発されており、今年中の国内販売を目指している。

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