GlobalFoundries(GF)は4月19日(米国時間)、IBMが企業秘密を不正使用(漏洩)したとしてニューヨーク州南部地区の連邦裁判所に告訴したことを発表した。

訴状では、2015年にIBMが半導体事業を工場や数千件の特許IPを含めすべてGFに譲渡したにも関わらず、IBMは GFが機密にしているIPと企業秘密を違法にRapidusとIntelに開示し、IBMは数億ドル(数百億円)のライセンス収入やその他の利益を不当に受け取る可能性があるとしている。

また、IBMの経営陣はIntelとRapidusのパートナーシップは、米国ニューヨーク州アルバニーのNanoTech Complexで実施された研究から得られた数十年にわたり蓄積された技術に基づいていると説明しており、この技術を研究パートナーだったGFの許可なく開示する権利はないともしている。

GFは、補償的および懲罰的損害賠償、ならびにGFの企業秘密のさらなる違法な開示および使用を防止するためIBMへの差し止め命令を求めている。IBMの2nmプロセスやデバイスの開発にGFは関与していないが、その基礎となる、かつてIBMとGFが共同開発していた技術を問題にしているようである。2014年にIBMがGFに半導体事業を譲渡すると発表した際、IBMの有していた数千件の反動多に関する特許もGFへ譲渡するとしていた。

訴状には、RapidusとともにIntelの名前もでているが、これは2021年にIntelがファウンドリビジネスに本格参入するにあたって、先端的な半導体の研究・開発でIBMと協業することを発表しており、この動きを指しているようである。

IBMのGF技術者への違法な採用活動についても提訴

さらにGFの訴状には、IBMがAlbany NanoTech Complex内にある同社の研究開発施設がGFのトップクラスのエンジニアを対象として採用活動をしているとも主張している。訴状の中で、GFは裁判所に対し、2022年12月のIBMがRapidusへ半導体ライセンス・技術を供与することを発表以来加速している違法な採用活動を停止するよう求めている。

なお、IBMの300mmウェハ研究開発ラインならびにGFの300mmファブも同じ米ニューヨーク州にあるが、IBMには半導体の各種研究者は在籍していものの、すべての半導体工場はGFに譲渡されているため量産技術や歩留まり向上を担当する製造技術者はいないという。そのため、IBMはRapidusの2nmプロセスでの量産に対する指導を行うことを目的に、そうした製造技術者をGFから引き抜いている模様である。ただし、どのような違法なリクルート活動が行われているのかについての詳細は明らかにされていない。