世界のスーパーコンピュータ(スパコン)に関するランキングの2022年11月版(第60回)「TOP500」が11月14日(米国時間)、米国キサス州ダラスにて開催されているHPCに関する国際会議「SC22」にて発表された。

トップとなったのは前回同様、米ORNL(米オークリッジ国立研究所)に設置されたエクサスパコン「Frontier」。LINPACK性能は1.102ExaFlopsで、前回から変化はない。2位も前回同様、理化学研究所(理研)のスパコン「富岳」。LINPACK性能は、こちらも前回同様の442.01PFlopsと変更はない。ちなみに富岳は、「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」ならびに「Graph500」においては6期連続の1位を獲得しているほか、「HPL-AI」は3位を獲得している。

  • エクサスケールスパコン「Frontier」

    2022年11月版のTOP500で2連覇を達成したエクサスケールスパコン「Frontier」 (出所:TOP500 Webサイト)

3位も前回同様、欧州連合(EU)のスパコン共同事業体(EuroHPC Joint Undertaking)のうちの1つで、フィンランドの教育文化省が運営する非営利の国有企業CSC - IT Center for Scienceによる「LUMI」だが、こちらは前回の151.90PFlopsからコア数をほぼ倍増させることで、309.10PFlopsへと性能を引き上げてきた。 4位はLUMI同様、EuroHPCのうちの1つで、イタリアのボローニャに設置されているCINECAデータセンターの「Leonardo」で、Xeon Platinum 8358(32コア、2.6GHz)とNVIDIA A100を組み合わせたペタスケールスパコンとなっている。LINPACK性能は174.70PFlopsとなっている。

5位は前回4位の米ORNLのスパコン「Summit」で、LINPACK性能は148.6PFlopsは前回から変更はない。6位は、前回5位だったローレンスリバモア国立研究所(LLNL)の「Sierra」でLINPACK性能94.64PFlops。7位は前回6位の中国National Research Center of Parallel Computer Engineering & Technology(NRCPC)の「神威・太湖之光」でLINPACK性能93.01PFlops。8位は前回7位の米National Energy Research Scientific Computing Center(NERSC)の「Perlmutter」でLINPACK性能70.87PFlops。9位は前回7位だったNVIDIAのスパコン「Selene」(LINPACK性能63.46PFLops)。10位は前回9位の中国National Super Computer Center in Guangzhouの「Tianhe-2A」(61.44PFlops)となり、4位にLeonardoが入ってきた以外、新規の顔触れはない。

  • 2022年11月版(第60回)TOP500の上位10システムの概要

    2022年11月版(第60回)TOP500の上位10システムの概要 (出所:TOP500 Webサイト)

なお、富岳以外の日本の主なスパコンシステムとして100以内にランクインしているのは以下の通り。前回は富岳併せて12システムがランクイン(前々回は14システム)していたが、今回は富岳含め11システムと数を減らしている。

  • 22位(前回19位):日本の産業技術総合研究所(産総研)の「人工知能処理向け大規模・省電力クラウド基盤(ABCI:AI Bridging Cloud Infrastructure)」(22.21PFlops)
  • 23位(同20位):東京大学情報基盤センターの「計算・データ・学習」融合スパコン「Wisteria/BDEC-01」のシミュレーションノード群(Odyssey)(22.12PFlops)
  • 39位(同35位):宇宙航空研究開発機構(JAXA)のスーパーコンピュータシステム(JSS3)のHPCシステム「TOKI-SORA」(16.59PFlops)
  • 56位(同51位):海洋研究開発機構(JAMSTEC)の「地球シミュレータ(SX-Aurora TSUBASA)」(9.99PFlops)
  • 59位(同54位):研究機関とのみ記載。HPE Apollo 6500システム(AMD EPYC 7543 32C 2.8GHz、NVIDIA A100)を採用したシステム(9.46PFlops)
  • 71位(同64位):東京工業大学の「TSUBAME3.0」(8.12PFlops)。
  • 75位(同68位):核融合科学研究所の「プラズマシミュレータ・雷神」(7.89PFlops)
  • 87位(同81位):名古屋大学の「Flow」(6.62PFlops)
  • 94位(同87位):日本原子力研究開発機構(JAEA)と量子科学技術研究開発機構(QST)の共用スパコン(6.16PFlops)
  • 95位(同88位):大阪大学のクラウド連動型高性能計算(HPC)・高性能データ分析(HPDA)用スパコン「SQUID(Supercomputer for Quest to Unsolved Interdisciplinary Datascience)」のCPUノード(6.11PFlops)