中南米や英国への出張から9月21日に帰国したSamsung Electronicsの李在鎔(リ・ジェヨン)副会長は、韓国の金浦国際空港にて噂されているArm買収に関する韓国報道陣の質問に対し、「2022年10月にソフトバンクグループの孫正義会長が訪韓し、(Armに関してSamsungに対する何らかの)提案をするようだ」と語ったと韓国の複数メディアが報じている。

英国滞在中、Arm経営陣との会談の有無について李副会長は「会わなかった」とだけ答えるにとどまったが、孫会長と何らかの連絡を取り合ったようだ。SamsungのArm買収の可能性が韓国内で広まりを見せる中、李副会長自らが直接この件に言及したことを韓国の半導体業界や証券業界関係者は注目している。提案内容は明らかになってはいないが、SamsungへのArm売却、出資要請、戦略的提携のいずれかとみられている。

Samsungの李副会長とソフトバンクグループの孫会長は、過去に何度も日本や韓国で会うなど、旧知のあいだがらであり、10月にも予定されている孫会長の訪韓で、Armの将来に向けてどのような提案をするかが注目される。

なお、Samsungの半導体事業の構造を考慮すると、SamsungのArm買収はかなり説得力のあるシナリオだと韓国内では受け取られているという。独占禁止法の観点からSamsungの単独買収が無理とされるなら、世界中のArmの有力顧客がコンソーシアムを結成して共同買収する案も取りざたされている。すでにこのコンソーシアム案はSK Hynixなどが提案しており、Qualcommなど複数の有力半導体企業からの賛意を得ているとされる。