Wordには「スペルチェックと文章校正」と呼ばれる文章の校正機能が標準装備されている。簡易的な校正機能ではあるが、誤字・脱字のチェック程度であれば十分に役割を果たしてくれるので、ぜひ使い方を覚えておくとよい。また、校正機能の使い勝手の比較として、AI(無料版のCopilot)に校正してもらった場合の比較結果も紹介しておく。
「スペルチェックと文章校正」の使い方
すでにご存知の方も多いと思うが、Wordには文章を機械的に校正してくれる「スペルチェックと文章校正」という機能が用意されている。まずは、この機能の使い方から紹介していこう。なお、ここではWord 2024をベースに校正結果の例を紹介していく。
文章の校正を開始するときは、「校閲」タブを選択して「スペルチェックと文章校正」をクリックすればよい。
すると、画面右側に「文章校正」ウィンドウが表示され、校正の結果(ひとつ目の校正箇所)が表示される。今回の例では、「支ている」の記述が「入力ミスでは?」と指摘されている。確かに入力ミスだ。正しくは「支えている」と表記しなければならない。
Wordが見つけてくれた指摘に従って本文の修正作業を行う。続いて、「再開」ボタンをクリックする。
ふたつ目の校正箇所が表示される。今度は「は」の文字がダブって入力されているようだ。こちらも本文を修正して「再開」ボタンをクリックする。
同様の手順を繰り返して、Wordが見つけてくれた校正箇所を修正していくと、文書内の誤字・脱字や文法ミスなどを、ある程度は解消できる。
なお、状況によっては、誤りではない箇所が指摘されるケースもある。以下の例では、「Suica」という単語が辞書に見当たらない、と指摘されている。Suicaは交通系電子マネーの名称なので、辞書に載っていなくても間違いではない。このような場合は「無視」をクリックすると、次の校正候補を表示してくれる。
校正箇所の表示が終わると、続いて「表記ゆれチェック」が表示される。今回の例の場合、「オフイス」と「オフィス」や「シティ」と「シティー」といった表記の不統一が文書内で発生しているようだ。これらを修正するときは、統一したい方の語句を選択して「すべて修正」ボタンをクリックすればよい。
すべての校正作業が終わると、以下のような確認画面が表示される。あとは「OK」ボタンをクリックして校正機能を終了するだけ。
このように、誤字・脱字や文法ミス、スペルミスなどを見つけ出してくれる機能が「スペルチェックと文章校正」だ。
ただし、機械的な校正なので完璧とは言い難い。たとえば、今回の文書では、「ビジネス視点」と記述すべきところを「ビジネス支店」と記述しているが、こういった漢字の間違い(変換ミス)は見つけてくれなかった。
また、「など」と「等」といった表記の不統一も見受けられるが、こういった「表記ゆれ」も指摘されなかった。どうやら、「表記ゆれチェック」の対象になるのはカタカナ表記が中心のようだ。
このように不完全さの残る校正機能ではあるものの、文書内のミスを即座に発見してくれる機能として、十分に利用価値はあると思われる。数カ所くらいのミスであれば、ほんの1〜2分で修正作業を終えられるだろう。ぜひ、使い方を覚えておいてほしい。
なお、Microsoft 365のWordでは「エディター」機能の一部として「スペルチェックと文章校正」が用意されている。画面表示が異なるものの、基本的な使い方はWord 2024と同じだ。
ただし、校正機能のアルゴリズムが異なるため、同じ文章であっても校正結果は異なる可能性がある。一般的には、常に最新版が提供されるMicrosoft 365のほうが校正精度は高い、と言われている。
AI(Copilot)で校正した場合は?
昨今のAIブームを踏まえると、「文書の校正もAIに依頼すべき」という意見もあるだろう。WordでAIを使うのであれば、同じマイクロソフトが提供する「Copilot」と連携させるのが一般的だ。
ただし、Word内でCopilotを使用するには、Copilotを使用できるMicrosoft 365を契約するか、もしくは有料版のCopilotを追加契約する必要がある。また、買い切り版のWord 2024はCopilotとの連携が不可となっている。
このため、Word内でCopilotを使えないユーザーも沢山いるだろう。そこで、Windows 11に標準装備されている無料版のCopilotを使って文書校正を試みた例を紹介しておこう。
タスクバーにあるアイコンをクリックしてCopilotを起動する。続いて、「添付したWord文書を校正して」などのプロンプト(AIに作業を依頼する文章)を入力する。その後、「↑」アイコンから「アップロード」を選択し、校正するWordファイルをアップロードする。
「Enter」キーを押してプロンプトを確定させると、校正された文章が画面に表示される。文章の内容まで吟味してくれるAIだけあって、「ビジネス支店」が「ビジネス視点」に正しく修正されている。ただし、「どこを修正したのか?」はわかりづらい。以下の図に示した赤線は筆者が追加したもので、実際の画面には表示されていない。よって、修正箇所を見落としてしまう可能性も十分にあり得る。
画面を下へスクロールしていくと、修正箇所を「※修正点」として特記してくれている部分も見受けられるようだ。
一番下までスクロールすると、「校正ポイントまとめ」として修正箇所の概要が一覧表示される。でも、これだけでは「実際にどこを修正したらよいのか?」を把握しづらい。
そこで、「どこを修正したのか、わかりやすく示してほしい」と追加のプロンプトを入力してみた。結果は以下の図のような感じで、修正箇所を順番に示してもらうことが可能となった。ただし、その修正箇所が「原文のどの位置にあるのか?」は自分で探さなければならない。
最後までスクロールすると、「赤字修正入りの対比表(Before/After)やWordの変更履歴風の表示も作れます」と表示された。そこで、「変更履歴風の表示でお願いします」と依頼してみた。
結果は以下の図のとおり、取り消し線を使った形で修正箇所を示してくれるようになるが、やはり「原文のどの位置にあるのか?」を探し出す手間は解消されていない。
いずれにせよ、文章の修正(校正)はCopilotの中で行われているので、これをWord文書に反映させるには、自分で原文を修正していく必要がある。それは面倒なので、「校正した文書をWordファイルとしてダウンロードしたい」と依頼してみた。
すると、校正箇所を示す方法として以下のふたつの形式が提案された。どちらの形式でも構わないが、「変更履歴」の機能を使わない、よりシンプルな形式となる「2の方法でお願いします」と依頼した。
少し待つとWordファイルが作成されるので、「↓」アイコンをクリックしてダウンロードする。なお、このファイルは「ダウンロード」フォルダーに保存される仕組みになっている。
校正されたWordファイルの中身は以下のとおり。校正箇所が赤字で示されているが、「支店」→「視点」のように赤字になっていない部分もある(図の赤線は筆者が追加したもので、実際の画面には表示されない)。よって、修正箇所を見落としてしまう可能性が大きいと考えられる。
また、元のWordファイルの書式(デザイン)は無視されるため、ダウンロードしたWordファイルをそのまま使うことはできない。結局のところ、校正後のWordファイルを見ながら、元のWordファイルを手作業で修正していく羽目になる。
こういった流れを考慮すると、「あまり使い勝手はよくない」というのが正直な感想になってしまう。Word内でCopilotを使えるのなら話は別だが、そうでない場合は「Wordファイルのアップロードによる校正作業」はあまり効率がよくなさそうだ。
もしかしたら、もっと効率よく作業を進めるためのプロンプトがあるのかもしれないが、筆者はまだAIに不慣れなので、最適は方法を見つけられなかった。それよりも、Wordに用意されている「スペルチェックと文章校正」を使ったほうが効率的であると感じられた。
「スペルチェックと文章校正」は簡易的な校正機能であるが、Word内でCopilotを使えない環境であれば、まだまだ活用できる場面は多いと思われる。ほんの1〜2分で文書内のミスを減らせる機能として、積極的に活用していくとよいだろう。





















