中国のNANDメーカーYMTC(長江存儲科技)が、米国政府のエンティティリストに掲載され、米国技術の輸出や(中国の)域内出荷が制限されているHuaweiへ3D NANDチップを供給したのは、米国技術の輸出規制(域外適用)に違反した動きだとして、YMTCをブラックリストに載せるように、超党派で構成される米国連邦議会議員団がホワイトハウスに要請したと英Financial Timesが9月21日(英国時間)付けで報じている。

YMTCは、Huaweiの新規フラグシップである折りたたみ式スマートフォン(スマホ)「Mate Xs 2」にNANDチップを供給したものとみられており、この取引について、一部の議員が問題視し懸念を表明しているという。

こうした動きに先立つ7月28日、米議会上院のチャック・シューマー院内総務(民主党)など複数の議員が米商務省のレモンド長官に書簡を送り、YMTCなど中国の半導体メーカーが国家安全保障と米半導体企業に与える脅威が増していることを指摘、禁輸装置を講じるように求めていたという。また、Appleに対しても、YMTC製NANDを新型iPhoneに採用しないように求めているという。

なお、CHIPS法により米国政府から補助金を受けた半導体メーカーは、補助金を受領した日から10年間にわたり、中国の先端半導体事業への投資を禁じる条項が法律に追加されているが、加えてバイデン政権は、10月にも米国半導体メーカー製の先端人工知能(AI)チップや、その製造に使われる米国製の半導体製造装置の中国への輸出を事実上禁止する措置の明文化を検討しているとも伝えられている

米国は、同盟国である日本や台湾、韓国とともに、中国を排除した半導体サプライチェーンの強靭化をめざす同盟(CHIP)を構築する準備を進めており、今後、中間選挙を11月に控えた米バイデン政権が、中国半導体産業に対してどんな強硬な規制を実施するか注目される。