4月15日から17日にかけてパシフィコ横浜で開催されていた「2022国際医用画像総合展(ITEM2022)」で、シーメンスヘルスケアはフォトンカウンティング検出器を搭載した次世代CTとして2022年1月26日に製造販売認証された「NAEOTOM Alpha(ネオトム アルファ)」の展示などを行っていた。
フォトカウンティング検出器を搭載したNAEOTOM Alpha
現在主流のCTは、「固体シンチレーション検出器」を用いたCTだが、NAEOTOM Alphaは「フォトカウンティング検出器」が用いられた次世代のCTとして注目されている。
固体シンチレーション検出器を用いたCTでは、高分解能を得るためには高線量の撮影が必要だったが、フォトカウンティング検出器は、固体シンチレーション検出器のようにX線光子を可視光に変換するのではなく、各X線光子とそのエネルギーレベルを直接検出するため、より少ない放射線量で高分解能な画像を得ることができるのが特徴だという。
フォトカウンティング検出器の実現のために、シーメンスヘルスケアは、2011年にCdTe(カドミウムテルライド)系半導体放射線検出素子の開発、製造、販売を行っているアクロラド(沖縄県うるま市)を買収し、アクロラドとともにフォトカウンティング検出器の開発を行ってきた。
このCdTeがフォトカウンティングCTの実用化を大きく前進させたのだという。
従来のシンチレーション検出器では、シンチレータが放射線を吸収した際に、全方向に光を放射するため、周囲のフォトダイオードも反応してしまい、画像がにじむことがあったという。しかし、CdTe検出素子は、放射線の吸収によって発生した電荷が直接ピクセル電極に引き寄せられるため、信号が周囲に広がらず、高分解能な画像を得ることが可能とのことだ。
ついに実現したフォトンカウンティング搭載のNAEOTOM Alphaは、高分解能、高画質、低線量撮影、スペクトラルイメージングが可能だ。
ブースの担当者によればNAEOTOM Alphaの展示で反響が高いのは、低線量ながら高分解能な撮影ができるという、いままで相反していたものを実現している点だという。
注目されている低磁場MRI
また、同社は、2021年11月に発売を発表したMRI「MAGNETOM Free.Max(マグネトムフリーマックス)」も展示を行っていた。
MRIは、高磁場化の技術開発および導入が進み、超高磁場の7テスラのMRIなども開発され、海外では臨床応用が進んでいる一方で、高磁場化に伴う課題もあり、低磁場(1.5テスラ以下)MRIの可能性が注目されているという。
低磁場MRIは、低画質や撮像時間が長いというデメリットがあったが、同社が今回開発したMAGNETOM Free.Maxは0.55テスラという低磁場ながらも、AI技術を画像再構成に用いることで、高品質な画像の取得と撮影時間の短縮を可能にしたという。
加えて、0.7リットルという少量の液体ヘリウムで使用が可能で、経済的な観点でも利用しやすくなっているという。
また、通常のMRIより開口径を80cmと広く設計し(通常だと約60cmほどのものが多いようだ)、閉所恐怖症や検査に不安を持つ被検者、体格の大きな被検者の検査にも対応が可能だとしている。
同社はほかにも血管内治療をサポートする治療支援ロボット「CorPath GRX システム」といったさまざまな医療ソリューションを紹介していた。