このサイエンスニュースのまとめ
・国立科学博物館とNHK「ダーウィンが来た!」が共同企画した特別展「いきもの超ワールド展」が7月11日より開幕
・科博の標本・資料とNHKが撮影してきた自然映像を組み合わせ、生き物の適応進化や生存戦略を6つの視点で紹介
・公式ナビゲーターの相葉雅紀さんが音声ガイドにも参加し、子どもから大人まで生き物の“生き残り術”を体感できる展示に
科博と「ダーウィンが来た!」の大型コラボが実現
地球上の生き物たちは、その誕生から現在に至るまで、気候変動、地殻変動、天敵、食料の確保、繁殖など、さまざまな環境変化や生存競争にさらされながら進化してきた。そうした動物たちが身につけてきた驚きの能力や戦略に焦点を当てる特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」が、東京・上野の国立科学博物館(科博)にて7月11日より開幕する。
同展は、国立科学博物館と、NHKの自然番組「ダーウィンが来た!」の共同企画によるもの。科博が有する標本・資料、研究成果と、「ダーウィンが来た!」が長年にわたって撮影してきた動物たちの迫力ある映像を組み合わせることで、単に“珍しい生き物を見る”だけではなく、なぜその姿や行動に至ったのかを、科学的な視点から理解できる構成となっている。
総合監修を務めた国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ 研究主幹の田島木綿子氏は、生き物たちが環境に適応しながら獲得してきた構造や機能について、「無邪気でがむしゃらで、忖度のない生き残り術」であると表現。そうした生き物たちの姿に人が感動する理由について、スポーツで一生懸命に挑む姿を見て感動することになぞらえながら、来場者が生き物の生存戦略を見て、驚きや感動を共有してほしいと語った。
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同展の監修者と公式ナビゲーターの相葉雅紀さん、ダーウィンが来た!でおなじみのヒゲじいによる記者発表会の記念撮影。左からヒゲじい、国立科学博物館 動物研究部 海生無脊椎動物研究グループの山崎博史 研究員、同 動物研究部 海生無脊椎動物研究の並河洋 グループ長、公式ナビゲーターの相葉雅紀さん、動物研究部脊椎動物研究グループの田島木綿子 研究主幹、動物研究部 陸生無脊椎動物研究グループの井手竜也 研究主幹、生命史研究部 進化古生物研究グループの對比地孝亘 研究主幹
展示は6章構成、五感から命の継承までを紹介
同展の展示は、動物たちの生存戦略を6つの章に分けて紹介する構成となっている。
第1章は「いきもので異なる『五感』」。視覚、触覚、聴覚、嗅覚、味覚といった感覚が、生き残るためにどのような役割を果たしているのかを紹介する。人間にとって当たり前に思える感覚も、動物ごとに得意不得意があり、特定の環境で生き抜くために高度に発達した能力となっていることが分かる。
第2章は「いきもので変わる『エネルギー補給』」。生き物にとって食べることは、生存の根幹に関わる行為である。動物や植物をどのように獲得し、体内に取り込み、エネルギーへと変えるのか。捕食、採食、寄生、共生など、多様なエネルギー獲得の戦略を紹介する。
第3章は「いきものの挑戦『サイズ』適応術」。巨大な動物から目に見えないほど小さな生き物まで、体のサイズは生存戦略そのものと言える。大型化することで得られる優位性もあれば、小型化することで生き延びやすくなる環境もある。会場では、同展の目玉の1つとして、700万~800万年ほど前に存在した体長4m、体重1.8tほどにまで成長した有毛目ナマケモノ亜目オオナマケモノ科の「ピラミオドンテリウム」のレプリカ復元骨格や実物化石と、現在の近縁種である体長1m以下の現生のナマケモノ類の1種「ノドチャミユビナマケモノ」を比較する展示も用意され、サイズの変化が進化や生存にどう関わってきたのかを考えさせる内容となっている。
また、第3章と第4章の間には、生き物の世界を大迫力映像で体験できる「大自然超体感シアター」が設置されているほか、「ダーウィンが来た!」の番組終わりに流れる「マヌールのゆうべ」コーナーも用意。監修者たちがセレクトしたマヌールのゆうべ形式のマンガを読むことができる。
第4章は「いきもので違う『移動』のかたち」。飛ぶ、泳ぐ、走る、這う、流される、あるいはほとんど移動しない。生き物の移動手段は実に多様であり、それぞれの生息環境に適応した結果でもある。移動は餌を得るため、天敵から逃れるため、繁殖相手を探すためなど、多くの目的と結びついている。
第5章は「いきものに学ぶ『集団』の意義」。単独で生きることにも、群れで生きることにも、それぞれ意味がある。群れることで敵から身を守る、狩りを効率化する、子を守るといった利点がある一方、単独行動にも資源競争を避けるなどの利点がある。同章では「群れる」と「群れない」の両面から、生き物の社会性を紹介する。
そして第6章は「いきものが紡ぐ『命のバトン』」。出会い、繁殖し、子を育み、次世代へ命をつなぐプロセスは、すべての生き物に共通する重要な営みである。動物ごとに異なる求愛、子育て、巣作り、旅立ちなどを通じて、命の継承に込められた多様な戦略を見ることができる。
標本と4K映像で“生き残り術”を体感
同展の大きな特徴は、標本展示と映像演出の組み合わせにある。科博が所蔵する標本は、動物の体の構造や大きさを実感するうえで重要な役割を果たす。一方、「ダーウィンが来た!」が撮影してきた映像は、動物が実際に自然環境の中でどのように動き、食べ、逃げ、繁殖しているのかを臨場感を持って伝える。
開催前日に開催された報道発表会に登場した公式ナビゲーターの相葉雅紀さんは、会場を内覧した感想として、標本と映像を合わせて見ることで、生き物が実際にどのように行動しているのかを体感できる展示になっていると説明。特に、壁面や足元を含めた映像に囲まれる大自然超体感シアターについて、自然の中に入り込んだような感覚を味わえるとし、体験型のアトラクションのような印象を受けたという。
また、展示を通じて「生き残る」ということの大変さを改めて感じたとコメント。人間も含め、動物たちがさまざまな環境に合わせて進化し、生き延びてきたことに対し、単に体の構造はまねできなくても、考え方や生き方から学べる部分があるとした。
メイオベントスから巨大動物まで、スケールの幅も魅力
さらに相葉さんは、NHK「ダーウィンが来た!」のロケで砂浜に棲む「メイオベントス」と呼ばれる1mm以下の小さな生き物を探したエピソードを披露。砂浜の中にいるごく小さな生き物の世界にも、多様な生存戦略があることを紹介し、もしかすると新種発見につながる可能性もあるという話題を挙げた。
同展では、こうしたミクロな世界から、巨大な動物、さらには過去に存在した大型動物まで、多様なスケールの生き物が紹介される。来場者は、現在の身近な生き物と、長い進化の歴史の中で姿を変えてきた動物とを見比べながら、なぜその形になったのか、なぜその大きさで生き残ってきたのかを考えることができる。
音声ガイドは相葉雅紀さんがナビゲート
同展では、公式ナビゲーターである相葉雅紀さんが音声ガイドにも出演する。相葉さんに加え、オリジナルキャラクターの「くじらじい」、そして「ダーウィンが来た!」でおなじみの「ヒゲじい」が、展示の見どころや生き物の不思議を案内する。
音声ガイドの収録にあたっては、来場者の展示体験を邪魔しないようにしつつ、そっと情報を渡すような意識で臨んだと相葉さんは説明していた。実際、こうした音声ガイドは、音声案内の番号がある場所で立ち止まって聞くのが一般的だが、いきもの超ワールド展では、歩きながら説明を聞く場所があり、そうした説明も入れるなど、気配りも垣間見えるガイドとなっていた。
夏休みから秋まで楽しめる科博の特別展
なお、特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」の開催概要は以下の通り。
会場:国立科学博物館(東京・上野) 会期:2026年7月11日(土)~10月12日(月・祝) 開館時間:9時~17時(入場は16時30分まで)。8月9日(日)~8月15日(土)は18時まで開館(入場は17時30分まで) 休館日:7月13日(月)、9月7日(月)、9月14日(月)、9月24日(木)、9月28日(月)
入場料:一般・大学生2300円、小・中・高校生600円、未就学児は無料 主催:国立科学博物館、NHK、NHKプロモーション
- 土日祝日および8月10日(月)~8月14日(金)は日時指定予約制。前売券や日時指定券、音声ガイド付きチケットなどの詳細は公式サイトで確認できる。 - 会場内は基本的に展示映像を除いて撮影可能だが、フラッシュ撮影、三脚、一脚、自撮り棒の使用、動画撮影は禁止
地球上の生き物たちが、どのように環境を感じ取り、食べ、動き、群れ、命をつないできたのか。標本と映像を通じて、生き物の“すごさ”と“したたかさ”を体感できる同展は、夏休みの自由研究のきっかけとしてだけでなく、大人にとっても、身近な生き物を見る目を変えてくれる展示になりそうだ。















