オムロンは、シミュレーションソフトウェア「Sysmac Studio 3D シミュレーション」に、バーチャル上でロボットをティーチングできる「オフライン教示機能」を4月15日から追加すると発表した。

Sysmac Studio 3D シミュレーションは、設備全体をデジタルにて再現し、実機と同等の精度で動作を簡単に検証できるシミュレーションソフトウェア。同社の「ロボット統合コントローラー」を通じた動作情報を利用し、精度の高いシミュレーションを行うことができるのが特徴だ。

今回追加が発表された新機能は、実機を使わずに仮想的な環境でロボットにティーチングを行うことができるというもの。検査などの自動化を検討する際に、従来はロボットの実機で調整を行う必要があり、そこに工数がかかるという課題があったという。

バーチャルでティーチングすることで、例えば20~30点の検査項目がある自動車部品のティーチングは、従来の現物、実機での準備作業では、1日を要していたものが、新機能を使用すると机上で、約1時間で完了することができるとしている。

また、バーチャルでのティーチングは、リモート勤務でも遠隔での立ち上げや、PC上で事前準備が出来るため、作業者の負担軽減が可能だともしている。

オフライン教示機能を実現するためにオムロンでは、具体的に以下3つの新機能を追加したという。

スナッピング機能

スナッピング機能は、ロボットのハンド位置やカメラの焦点位置を正確に指定することができるというもの。カメラ、ロボット、検査ワークの座標を自働演算しロボットの移動位置を教示することができるという。

仮想撮影デバイス機能

仮想撮影デバイス機能は、3Dオブジェクトを用いて、カメラで撮影した際の画面イメージを確認しながら、事前準備、確認ができるというもので、スナッピング機能を用いて教示したカメラ位置や画角が正しいのかをオフライン上で確認することができるという。

ロボットパスプランニング機能

ロボットパスプランニング機能は、ロボットハンドやワークを持った状態で障害物を回避する経路が自動生成できるというもの。ロボットの始点と終点、障害物の位置を指定するだけで、経路を自動で生成できるとしている。

  • オフライン教示機能のシミュレーションイメージ

    オフライン教示機能のシミュレーションイメージ(提供:オムロン)

またオフライン教示機能は、シミュレーションした動きを実機に転送した際の再現性の高さも特徴だという。シミュレーションソフトにロボットの制御エンジン、オムロンのPLC(Programmable Logic Controller)に対する制御エンジンなどをエミュレータとして埋め込んでいるため、バーチャル上で実機に近い動きを再現できるとともに、シミュレーションしたプログラムをロボット統合コントローラにインストールして実機を動かすため、再現性が高くなるという。

なお、すでにSysmac Studio 3D シミュレーションを利用しているユーザーは、オプションライセンスを購入することで新機能が使用可能となる。新規ユーザーはSysmac Studio 3D シミュレーションとオプションライセンスの2つをそろえる必要があるとのことだ。