韓国政府、半導体などの素材・部品・装備向け工業団地育成に2500億円を出資

韓国産業通商資源部(日本の経済産業省に相当)は10月27日、政府指定の5大産業分野(半導体、二次電池、ディスプレイ、炭素素材、精密機械)の「素材・部品・装備(装置と設備を指す)特化団地推進団」発足式を開き、それぞれの工業団地のエコシステム構築・育成に2兆6000億ウォン(約2500億円)の資金を投入する計画を発表した。

韓国政府が開催した素材・部品・装備特化団地推進団発足式 (出所:韓国通商産業資源部フォトニュース)

推進団は、5大産業別テクノパーク(国家工業団地)、公共研究機関、地域大学、工業会、素材・部品・装備企業など産官学の中核となる43機関で構成され、連携により相互協力のエコシステムを構築、グローバルサプライチェーンの再編に対応し、国際的産業競争力を高めようという趣旨で設立された。これらの機関は相互協力のための業務協約(MOU)を結び、企業間協力需要の発掘、新規事業企画、ネットワーキング活動支援などを重点的に推進する予定だという。

5大産業分野の「素材・部品・装備特化団地推進団」の概要 (韓国通商産業資源部資料を基に著者作成)

5つの特化団地には、政府・自治体の研究開発(R＆D)、テストベッド構築、専門人材養成など支援事業連携計画などに合計2兆6000億ウォンが投入される予定だという。

パク・ジンギ通商産業部次官は「気候変動、米中貿易摩擦、感染病蔓延などグローバルサプライチェーンの不安要因がある中で、外部リスクにより脅かされない産業エコシステムを構築しなければならない」とし「推進団がその中心的な役割をしてほしい」と呼びかけた。

半導体の素材・部品・装備特化団地は、SK Hynixと共存

半導体分野では、韓国の首都ソウルから車で一時間南下した京畿道龍仁市に、SK Hynixが大規模半導体製造クラスタの建設計画を進めており、韓国政府はここを半導体素材・部品・装備特化団地に指定した。

同地では、SK Hynixの巨大前工程ファブ4棟のほか、製造装置・材料メーカー、半導体設計企業などエコシステムパートナー約50社を収容する大規模な工業団地が数年後に完成する見込みである。SK Hynixは、キャンパス内にあるこれらパートナーとの密接に協力して先端半導体の製造にあたるとしている。

また、この半導体製造クラスタは、韓国政府が掲げる国家半導体戦略である「K-半導体戦略」における、韓国内にK字型の配置された半導体および関連周辺企業群のいわゆるK-半導体ベルトの要の部分に位置しており、韓国政府はここを中心とした半導体戦略を展開していく模様である。K-半導体戦略を実行に移すために、新規開設されるK-半導体ベルト上の半導体関連事業拠点としては、龍仁(メモリ製造、素材・部品・装備)のほか、板橋(ファブレスIC設計ベンチャー群)、華城(素材・部品・装備)、槐山(パッケージング)が予定されている。