慶應義塾大学(慶大)は8月25日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種後に生じた頭痛の特徴や頻度の調査を行い、普段から頭痛がある人はワクチン接種後に副反応として頭痛が生じやすいことを明らかにしたと発表した。

同成果は、慶大医学部内科学(神経)教室の滝沢翼専任講師、同・関口耕史助教、同・中原仁教授らの研究チームによるもの。詳細は、頭痛についての学術誌である「Cephalalgia」にオンライン掲載された。

日本では新型コロナワクチンの接種が進められいるが、副反応の1つとして頭痛が報告されている。そこで研究チームは今回、慶大病院の看護系職員を対象に、健常者、片頭痛を有する人、それ以外の慢性頭痛を有する人の3群に分類し、同病院で使用されたファイザー/BioNTech製「BNT162b2ワクチン」の接種後に生じる頭痛の頻度や特徴について調査を実施することにしたという。

研究への参加に対する同意を得られ、ワクチンを2回接種し有効な回答が得られた171名について解析が行われたところ、ワクチンの接種後に頭痛が発生した割合は、健常者が37.9%、片頭痛のある人が69.2%、片頭痛以外の慢性頭痛のある人が71.4%となり、普段から頭痛(片頭痛、それ以外の慢性頭痛問わず)がある人は、ワクチン接種後に頭痛が生じやすいことが示されたという。

また、頭痛が生じたのは1回目の接種後が20.5%だったのに対し、2回目の接種後は45.6%と、2回目の接種後の方が多いことも示された。

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    ワクチン接種後の頭痛発症率。*は健常者との比較、#は1回目との比較、ともに統計的に有意な項目(*:adjusted p<0.05,***:adjusted p<0.001,###:p<0.001) (出所:慶大プレスリリースPDF)

さらに、ワクチン接種後に頭痛が発症するまでの時間の中央値は、1回目では10時間後、2回目では12時間後であったほか、頭痛の持続時間の中央値は1回目では4.5時間、2回目では8時間であったという。頭痛が発症するまでの時間、持続時間ともに2時間未満から24時間以上まであり、個人差が大きいことも示唆されたとする。

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    ワクチン接種後の頭痛の発症時間 (出所:慶大プレスリリースPDF)

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    ワクチン接種後の頭痛の持続時間 (出所:慶大プレスリリースPDF)

なお、今回の研究の対象は若年女性が多かったため(女性の割合が94%、年齢の中央値31歳)、この結果をただちに一般人口に当てはめることは難しいかもしれないという(もともと20~40代の女性は片頭痛を持っている人の割合が多いとされる)。ただし普段から頭痛を持っている人は、そうでない人と比較してワクチン接種後に頭痛が生じやすい可能性があるため、接種の際には注意する必要があると考えられると研究チームではコメントしている。