聖路加国際病院、秋田大学医学部附属病院(秋田大病院)、北海道大学病院(北大病院)、金沢大学(金大)、日本赤十字社医療センター(赤十字医療センター)、東邦大学医療センター大森病院(東邦大大森病院)の6者は2月4日、睡眠パターンの基礎が形成される1歳半の乳幼児を対象に、夜の睡眠に対する添い寝と夜間における母乳の授乳に関する調査を実施した結果、乳幼児の夜間睡眠時間の長さは夜間の母乳授乳で短くなる一方で、添い寝は影響しないことが判明したこと、ならびに長い昼寝も夜間睡眠時間を短くすることが確認されたと発表した。

同成果は、聖路加国際病院 小児医療センターの中川真智子医師、同・草川功臨床教授、聖路加国際大学の小林京子教授、同・福冨理佳助教、秋田大病院 精神科の太田英伸准教授、同・竹島正浩講師、同・三島和夫教授、北大病院 周産母子センターの兼次洋介研究員、同・長和俊診療教授、北大 保健科学研究院の安積陽子准教授、金大 ・人間社会研究域学校教育系/子どものこころの発達研究センターの吉村優子准教授、同・子どものこころの発達研究センターの池田尊司助教、同・医薬保健研究域医学系 精神行動科学の菊知充教授、金大附属病院 小児科の三谷裕介講師、赤十字医療センター 小児科の大石芳久部長、東邦大大森病院 新生児科の與田仁志教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

これまで、乳幼児の夜間睡眠時の母乳授乳や、日本を含むアジア諸国を中心に多く見られる添い寝を行うと、乳幼児の夜間睡眠が妨げられる可能性が指摘されてきたが、その報告の大多数が、養育者に対するアンケート調査によるものであった。そこで今回の調査では、健康な乳幼児106名を対象に、アクチグラフ(睡眠計)を1週間継続して装着することで解析が行われた。

その結果、夜間の睡眠時間は、夜間母乳授乳によって短くなるが、添い寝は影響しないことが客観的なデータとして取得されたほか、長い昼寝も夜間睡眠を短くする(寝付きを悪くする)とされてきたが、実際にその通りであることが確認された。

今回の結果から、子育て中の養育者に対して母乳の与え方や、昼寝の長さを調節するようアドバイスすることにより、乳幼児の夜の睡眠不足が解消できる可能性と、その解消に伴う養育者の不安や睡眠不足を解消できる可能性が明らかとなったとのことで、研究チームでは、子どもの睡眠について悩む養育者の子育てをサポートするのに有用なデータと考えられるとしている。