東京工業大学(東工大)、奈良県立医科大学、神奈川県立産業技術総合研究所の研究グループは9月25日、可視光応答形光触媒材料(CuxO/TiO2)による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化を確認したこと、ならびにその不活化条件を実験的に明らかにしたと発表した。

同成果は、奈良県立医科大学 微生物感染症学講座の中野竜一 准教授、東京工業大学 物質理工学院材料系の宮内雅浩 教授、神奈川県立産業技術総合研究所 研究開発部 抗菌・抗ウイルス研究グループらによるもの。

具体的な研究内容としては、可視光応答形光触媒による抗ウイルス性能評価試験として制定されているJIS R 1756を参考に、新型コロナウイルス株を培養し、光触媒に対し、それを接種。その後、1000luxの可視光(400nm以下の紫外光をカットした白色蛍光灯)を照射した場合と、光の当たらない暗所での場合のウイルス量を一定時間経過後に算出したものとなっている。

その結果、光照射をすることで、1時間で2.5桁のウイルス量の減少(99.7%の減少)、2時間で検出限界以下となる99.99%以上のウイルス量の減少を確認したとする。また、暗所でも4時間で検出限界以下に減少できることも確認したとする。

なお、研究グループでは今回の成果を踏まえ、可視光応答形光触媒を利用することで、公共施設などにおける飛沫の付着や人が触れる場所に対して、持続的な抗ウイルス効果を付与させることが可能になると考えられるとコメントしている。

  • 可視光応答形光触媒

    ウイルス量の変化とウイルス感染評価結果の一例。写真の左が新型コロナが細胞に感染し、破壊された箇所が白くなった状態(不活化していない状態)、写真の右が可視光応答形光触媒材料を用いた状態で、白い部分(細胞の破壊)は確認されない (提供:東京工業大学)