imecが5月の年次イベントの開催中止を決定

独立系半導体ハイテク研究機関のベルギーimecは、2020年5月19~20日にかけて開催予定としていた同社最大の年次イベント「Future Summits 2020」の中止を3月16日(現地時間)に発表した。5月21日に同じ場所で開催されるimec主催の「AI Flanders 2020」も中止が併せて発表された。

  • Future Summits 2020

    「Future Summits 2020」のWebサイト上で開催中止がアナウンスされた (Future Summits 2020 Webサイト)

これらのイベントには、世界中の半導体・IT産業の経営者、著名大学や研究機関の研究者が将急成長が期待される半導体およびその応用分野に関するいくつかのホットなテーマ(文字通り"Future Summits")について招待講演するとともに、imecの各研究部門の責任者が研究の紹介と将来展望を行うことになっていた。

imecが進めているさまざまな研究テーマを紹介したり、後援企業の活動を紹介する展示会も併催されることになっていた。これらのイベントには、imecの研究パートナーや取引先でなくても誰でも参加できるので、例年、世界中から2000名を超す人々が参加している。このイベントは、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)や日本の半導体製造装置・材料企業(東京エレクトロン、SCREEN、富士フイルム、駿河精機)をはじめ、世界中の多数の製造装置・材料サプライヤが後援している。

imecはイベント中止にあたり、「WHOによる新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの表明、米国疾病予防管理センター(CDC)の感染防止ガイダンスおよびベルギー政府によるイベントの開催規制に従って、imecはFUTURE SUMMITS 2020を中止する決断をしたことを心からお詫びする。しかし、これが参加者、講演者、出展者、イベントスタッフの健康を保護するための適切な手段であることをご理解いただきたい」とコメントしている。

次回のimecの年次イベントは2021年5月を予定

なお、同イベントについては、欧州における新型コロナウイルスの感染拡大の収束のめどがまったく立っていないことを受け、延期ではなく中止とすることが決まった。そのため、次回の開催は、2021年5月11~12日に今回の開催地と同じベルギー・アントワープのエリザベスホールを予定しているという。imecは同種のイベントを毎年、米国(7月)と日本(11月)でも開催してきたが、「これらについては、ウイルス感染拡大の状況を見守っている段階で、計画通り開催したいと願っている」(imecの広報担当者)としている。

Samsungもファウンドリイベントの延期を決定

こうした動きはimecだけに限らない。Samsung Electronicsは世界主要市場で毎年開催していた「Samsung Foundry Forum(SFF)」の延期をWeb上で発表した。同社は「新型コロナウイルスに対する懸念が世界的に拡大したことを受けて決定した」と説明している。

Samsungは、2030年の非メモリ事業で世界一というビジョンを掲げファウンドリ事業に注力しており、毎年、米国をはじめ中国、日本、韓国、欧州などをまわるグローバルイベントとして開催してきた。

今年の第一弾は5月20日に米国カリフォルニア州サンタクララにて、シリコンバレーの半導体ファブレス企業の設計エンジニアを対象にして開催する予定であったが、米国疾病予防管理センター(CDC)より、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する措置の1つとして、3月中旬より8週間ほどは50名以上集まるイベントの開催を控えるよう勧告が出されており、それを受ける形で延期が決定されることとなった。

SFFは例年、6月に中国、7月に韓国、9月に日本、10月にドイツで開催されてきたが、いずれも新型コロナウイルスの状況次第で延期が検討されるという。

Sasmungは、韓国・華城事業所のV1ライン(EUV専用ライン)が量産を開始したばかりで、これから世界市場に向けて受注を拡大していこうという絵図面を描いていた。中でも、EUVの量産導入が遅れた結果、TSMCに流れてしまった米国の主要ファウンドリたちを呼び戻し、TSMCに追い付こうとしていた矢先のイベント延期の決定であり、韓国半導体業界関係者などからは「出鼻をくじかれてしまったのではないか」、「米国勢からの受注に悪影響がでるのではないか」といった声がでている。

6月開催のAppleのWWDCはオンライン開催に変更

3月、4月に続いて5月に開催が予定されている国際的なイベントの多くが中止の方向に向かっている中、毎年6月にAppleが開発者向けイベントとして開催していた「Worldwide Developers Conference 2020(WWDC 2020)」もリアルな形での開催は中止となり、すべてオンライン開催に切り替わることが発表された。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国際会議やイベントへの影響も数か月先まで拡大している。