パナソニック インダストリアルソリューションズ社は1月30日、独自のセキュリティ機能を搭載し、IoT機器や産業機器に追加実装することで、機器の安全性を向上させることが可能な多機能セキュアIC「MN67S3C0シリーズ」を開発、2020年2月よりサンプル出荷を開始すると発表した。

従来、機器をセキュアに保つための認証鍵は、ICの外部から書き込み、IC内に保有するというのが一般的であった。同製品はIC内部で固有の認証鍵を生成・保有、使用後に消去することで鍵の抜き取りをブロックし、重要データを保護する機能を搭載。具体的には、ICごとに有する異なるアナログ情報、いわゆる"ICの指紋"(製造時に生じるICチップごとのばらつきなどの情報をもとにIDを生成させるため、同じIDにはならない)、を活用することで、コピーを防ぐほか、このICの指紋から固有の固有の認証鍵を生成、その認証鍵でメモリ内のデータを暗号化することで、メモリ内データの抜き取りや改ざんへの耐性を向上させている。

また、機器を認証する時もICの指紋から認証鍵を生成し、認証作業が終了した段階で認証鍵を消去するため、セキュリティ耐性が向上するという。

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    ICの指紋から認証鍵を生成し、認証作業の終了時に認証鍵を消去するため安全性を従来に比べて高めることができる (出所:パナソニックWebサイト)

さらに、無線通信のためのNFCを搭載。インターネットに接続していない機器であっても、スマートフォンやタブレット端末経由でインターネットに接続することを可能とした。これにより、インターネットに接続していない機器であっても、サーバを利用した機器の相互認証が可能となるため、なりすましの防止などが可能になるという。加えて、放射線耐性が高い40nmプロセス採用のReRAMを256KB搭載しているため、医療機器や医薬品の管理庫など放射線滅菌処理が必要な場所での利用も可能になったとしている。

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    NFCを利用した相互認証のイメージ (出所:パナソニックWebサイト)

加えて、トラストサービス事業者などのセキュアIoTプラットフォームと連携する機能も搭載しているため、トラストアンカー(電子証明書に利用する情報)を保有した同ICをIoT機器に組み込み、証明書による認証を実行することで機器の製造から廃棄または再利用までのライフサイクル全体にわたって安全性の確保が可能になるという。

なお、このトラストサービス事業者については、2020年1月30日時点ではサイバートラスト社と開発連携の可能性を検討中としている。