2020年1月15日~17日にかけて東京ビッグサイトにて開催された「第12回 オートモーティブテクノロジー展(オートモーティブワールド2020)」において、ON Semiconductorの日本法人であるオン・セミコンダクターは、同社の第4世代品となるIGBTを活用したモジュールや、複数のイメージセンサなどを組み合わせることで、より高度な処理を可能にするイメージングソリューションの紹介を行っていた。

両面ヒートシンクのIGBTモジュール

IGBTは、トラクションインバータ向けパワーモジュール「VE-Trac」の新製品という位置づけで、シングルサイドダイレクトクーリング(SSDC)モジュールと、デュアルサイドクーリング(DSC)モジュールの紹介が行われていた。

  • オン・セミコンダクター

    ON SemiconductorのIGBT SSDCモジュールを用いたデモの様子

DSCはチップの両面にヒートシンクをつけることができるため、高い自由度を発揮できるモジュール。例えば、積層したり、別々なところに配置するといったことができるようになるという。

  • オン・セミコンダクター

    ON SemiconductorのIGBT DSCモジュールを用いたデモの様子

今回の展示はあくまでデモとしての紹介だが、すでにアーリーアダプタによる評価もスタートしているとのことである。

  • オン・セミコンダクター
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  • 実際のDSCモジュール。大きな面積を占める上部と下部にヒートシンクをつけることができるようになっている

進化する車載イメージセンサ

また、同社は車載イメージセンサの大手であり、今回もさまざまなイメージセンサ同士や別のセンサ/レーダーなどと組み合わせる形で、未来のクルマで必要となるソリューションの紹介を行っていた。

例えば、汎用DSPを搭載したISPをオンチップで内蔵したサンプル出荷中の1.3Mピクセル イメージセンサSoC「AS0149」を活用することで、940nmの近赤外光のストロボと組み合わせたドライビングマネジメントシステム(DMS)デモでは、パートナーであるSmart Eyeが開発したソフトウェアを活用することで、安価なソリューションながら、顔の向き、視線、瞼の開閉などを認識、ならびに描画できることを示していた。すでにリファレンスとしても提供できるという。

  • オン・セミコンダクター
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  • デモシステム「AP0300」と、それを用いた実際のデモの様子。カメラや近赤外光ストロボはデモボードから離して利用することができるため、実際のコックピットに取り付けて試してみる、といったことも可能だという

このほか、車室内監視に向けた光学モニタリングカメラ(OMC:Optical Monitoring Camera)システム向けとして、走行する場所や時間によって刻々と変化する光の加減に対応するために、RGB+IRのカラーフィルタを活用したイメージセンサのデモも行われていた。これは、1つのイメージセンサであっても、カラー情報とIRのデータを同時に取得することを可能とするもの。カラーフィルタをRGB+IRの構成とし、設定された入力光のレベルをもとに、通常の可視光であると判断した場合はIRのフィルタ部分をクローズ、しきい値以下の場合はIRのフィルタをオープンにすることで、赤外線によるモノクロ描画に自動的に切り替えることができるというものとなっている。

  • オン・セミコンダクター
  • オン・セミコンダクター
  • RGB+IRカラーフィルタを用いたデモの様子。一定以上の光を検知すればカラーに、一定以下の光と判断すればモノクロ(IRによる撮像)に自動的に切り替えることができる

処理のためのプロセッサは同社のものでなくとも良く、デモでもパートナーのプロセッサを使って処理が行われていた。こちらもすでにサンプル提供を行っているとのことであった。