ロームは4月21日、xEV(電動車)用トラクションインバータをはじめとする車載電動パワートレインや、AIサーバー電源、データセンターといった産業機器向け電源などの電源向けとなる第5世代SiC MOSFETを開発したことを発表した。素子構造の見直しと製造プロセスの最適化により、実使用環境で重視される高温動作時(接合温度Tj=175℃)のオン抵抗を、従来の第4世代品比で約30%低減したという。

高温環境での低損失化を追求した第5世代SiC MOSFET{#ID1}

SiC MOSFETは、シリコン(Si)と比べて高耐圧でオン抵抗の低いデバイスを実現できるほか、高耐圧化によるスイッチング素子の低減も可能とされているが、Tj=175℃の高温環境下ではオン抵抗が上昇してしまい損失が増大してしまうという課題があったとする。

今回、同社が開発した第5世代SiC MOSFETは、同一耐圧・同一チップサイズ条件で前世代品と比較した場合、Tj=175℃でのオン抵抗を約30%低減することに成功し、高温環境でも安定した低損失動作を実現したとのことで、トラクションインバータなどにおけるユニットの小型化や高出力化を可能とするという。

  • 第5世代SiC MOSFETウェハ

    第5世代SiC MOSFETウェハ (出所:ローム)

車載からAIサーバーまで広がる適用領域

ロームは、第5世代SiC MOSFETの主な用途として、車載分野ではxEV用トラクションインバータ、車載充電器(OBC)、DC-DCコンバータ、電動コンプレッサなどを挙げているほか、産業機器分野ではAIサーバーやデータセンターなどの電源やPV(太陽電池)インバータ、ESS(蓄電システム)、UPSといった大電力用途を想定している。

2026年後半以降にディスクリートとモジュールを展開 {#ID3}

なお、第5世代SiC MOSFETは、2025年よりベアチップのサンプル提供が先行して開始されており、2026年3月に製品開発を終えた。今後、2026年7月から搭載したディスクリートおよびモジュール製品のサンプル提供を開始する予定としている。

今後は、ラインアップの拡充に取り組んでいくとするほか、設計ツールの充実やアプリケーション設計支援の強化を進める方針としている。