2020年1月15日~17日にかけて東京ビッグサイトにて開催された「第12回 オートモーティブテクノロジー展(オートモーティブワールド2020)」において、Analog Devices(ADI)の日本法人であるアナログ・デバイセズは、同社のアライアンス・パートナーであるサクラテックと共同で、79GHzレーダーを手軽に利用可能とするMIMOプラットフォームの展示を行っていた。

「miRadar 48e-EV」と名付けられた同プラットフォームは4GHz帯域幅が利用可能なレーダーモジュールで、従来の24GHzレーダーでは数十cmオーダーであった分解能を数cmオーダーとすることが可能となったほか、アンテナ素子も小型化できるため、送信6ch、受信8ch構成を実現。モジュールでは、このうち3chを用いて高さ方向にもレーダーを照射することを可能とした(1チップあたり送信3ch、受信4chで同プラットフォームでは2チップをカスケード接続して48ch MIMOを実現)。

24GHzレーダーにくらべてより距離が近いところの計測も容易に行えるようになったため、ジェスチャ認識などにも利用できるほか、100mくらいの距離も測定できるとのことで、障害物監視や導線監視など、産業、一般、車載と分野を問わずに用途開拓を今後、進めていきたいとしている。ちなみに、2月には正式販売が開始される予定だという。

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  • 79GHzレーダーを搭載した「miRadar 48e-EV」のデモ。垂直方向の細かな動作をしっかりと把握できていることが見て取れる

実車を使って24GHzによるバイタルセンシングを体験

また同社ブースでは実車が持ち込まれており、中に乗り込んで、実際に技術デモを体験することもできた。デモとして披露されていたのは主に24GHzレーダーを用いたバイタルセンシングと、MEMSマイクを用いた「Child Presence Detection(幼児置き去り検知)」、そして同社が提唱している車載オーディオバス(A2B)技術。

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    ADIブース内に設置されたデモカー

幼児置き去り検知はMEMSマイクで車室内の音を集音。幼児が泣く際の特有の周波数を拾って、親のスマートフォンに置き去りにしていることを通知する、といったことを可能としている。幼児の鳴き声特有の周波数ということで、大人が泣いても反応はしないという。

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    さすがに幼児は用意できないので、人形を代わりにデモを実施。幼児が泣き声をあげると、MEMSマイクがそれを拾って、親のスマホに置き去りしている、というアラートを流す仕組みを披露していた

一方のバイタルセンシングは呼吸数と心拍を24GHzレーダーを用いて測定するというもの。デモでは3列シートの車両の2列目の前方中央にレーダーを設置。これで2列目、3列目のどこに座って、その人がどれくらいのバイタルなのか、といったことを正確に把握できることを紹介していた。

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  • 24GHzレーダーによるバイタルセンシングのデモの様子。赤は座っているが、まだデータの取得ができていない状態。緑はデータの取得がうまくいっている状態を示している