新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、健康増進や介護支援など新たなサービス事業の創出を目指して、IoT家電やウェアラブル機器を介して人の生活データを収集・活用したサービスの実証事業と、データの質の確保やプライバシールールなど企業間データ連携の在り方について調査・検討する調査事業に着手したことを発表した。

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政府が提唱した「Connected Industries(コネクテッドインダストリーズ)」の重点5分野のひとつに、生活上のあらゆる情報がつながり、生活の不便を解消する「スマートライフ分野」が位置付けられている。なかでも特に各家庭分野(スマートホーム)の市場は大きく拡大すると予測されており、多様な機器メーカーやサービス事業者が連携して生活データを収集・解析し、個人のニーズを先読みしたサービス開発が加速している。

そこでNEDOは、健康増進や介護支援などで新たなサービス事業の創出を目指し、IoT家電やウェアラブル機器を介して生活データを収集・活用したサービスの実証事業を開始した。生活データの有効活用により、社会課題解決を図る新たなサービス創出が可能となる環境整備を進めていくという。この事業は、ふたつのコンソーシアム(それぞれ実証事業が4テーマ)により取り組み、また、実証事業と同時にデータの質の確保やプライバシールールなど他社間データ連携のあり方について調査・検討する調査事業にも着手したとのことだ。

具体的な実証事業は、介護を未然に防ぐ健康増進サービス、介護サービスの負担・費用軽減を、生活空間で取得できるデータの活用によって実現する可能性について研究開発と実証事業を行う「コンソーシアム1」が、シャープ、KDDIによる「高齢者の健康増進・介護負担軽減のためのライフデータ利活用プラットフォームの研究開発と実証検証」、コニカミノルタによる「高齢者行動特性把握サービスに係る研究開発」、シャープによる「ライフデータを活用した会話ロボットによる生活支援の研究開発」、セコムによる「ライフデータを活用した健康相談サービスの研究開発」。

一方、IoT家電/センサー情報を集約するとともに、高齢者の生活をサポートするための高次データ処理を行うためのデータプラットフォームを構築する「コンソーシアム2」が、パナソニックによる「IoT家電・センサーからのライフデータによる高齢者の生活サポートサービス基盤の研究開発」、メディカルシステムネットワークによる「薬局による在宅高齢者等の生活サポートサービスの研究開発」、パナソニックの「高齢者の生活モニタリングによる地域包括ケアシステムの研究開発」、関西電力による「在宅高齡者向け高度見守りサービスに関する研究開発」となっている。

両事業による連携を通じて、生活空間で取得できるデータを複数の機器メーカーおよびサービス事業者間で相互に有効活用するためのデータ連携の環境整備とサービスの有効性検証を進める。これにより、スマートライフ分野における生活データの有効活用による新たなサービスの創出を加速させ、政府が提唱するConnected Industriesの実現を目指すとしている。