新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)は、高エネルギー密度化と安全性の両立が可能な蓄電池として注目されている全固体リチウムイオン電池を早期実用化するための研究開発プロジェクトの第2期をスタートさせたと発表した。期間は2018~2022年度となっている。

  • 全固体リチウムイオン電池の構造(出所:NEDOニュースリリース)

    全固体リチウムイオン電池の構造(出所:NEDOニュースリリース)

同プロジェクトは、自動車・蓄電池・材料メーカー23社および大学・公的研究機関15法人が連携・協調し、全固体リチウムイオン電池(LIB)のボトルネック課題を解決する要素技術を確立しつつ、プロトタイプセルを用いて新材料の特性や量産プロセス・電気自動車(EV)搭載への適合性を評価する技術を開発するもの。無機の固体電解質を使用する全固体LIBは、エネルギー密度を高めても安全性・耐久性を確保でき、EV充電時間が10分以下となるような超急速充電の実現可能性もある。一方で、期待どおりの性能を発現させるための課題が多く、セルの構造、材料構成、製造プロセスなどの基本コンセプトも固まっていない状況だという。

  • EV用バッテリーの技術シフトの想定(出所:NEDOニュースリリース)

    EV用バッテリーの技術シフトの想定(出所:NEDOニュースリリース)

そこで、NEDO事業「先進・革新蓄電池材料評価技術開発」の第1期(2013~2017年度)では、全固体LIBの標準電池モデルと同モデルを用いた材料評価技術を開発し、企業や大学などが全固体LIB用に開発した固体電解質や電極活物質などを受け入れて評価を行い、その評価結果をサンプル提供者にフィードバックする取り組みが行われた。今回スタートした第2期の事業では、大型化・高容量化した標準電池モデルと同モデルを用いた材料評価技術を開発し、EVへの搭載可否や量産プロセスへの適合性も含めて評価可能な技術として高度化する。

具体的には、固体電解質の量産・低コスト化合成、電極活物質への電解質コーティング、電解質層・電極層のシート成形といった全固体LIBの大型化・量産化のボトルネックとなっている要素技術が開発される。また、セルとしての性能・耐久性・安全性を評価することで、新材料・部品の得失、技術的課題およびセル量産プロセスへの適合性などを把握するための標準電池モデルとその作製仕様書および性能評価手順書が策定される。さらに、全固体LIBのセルおよびバッテリーパックの不安全化・劣化・熱的挙動を計算機シミュレーションによって予測する技術の開発、日本主導による国際規格化を念頭に置いた耐久性・安全性の試験評価法の開発などに取り組むという。そのほか、研究開発と並行して、電動車両が大量普及する将来の社会システムのシナリオ・デザインの検討も行われるということだ。