STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は、あらゆるSTM32マイクロコントローラ(マイコン)上でUSB Type-Cポート・マネージャ(TCPM)の実行を可能にするソフトウェア「X-CUBE-USB-PD」を発表した。現在は420品種以上のマイコンによるテストが完了しているという。

  • USB Type-Cポート・マネージャ(TCPM)

同ソフトウェアは、新製品または従来品を設計する際、最新のUSB Power Delivery(USB PD)機能と、互換性に優れたUSB Type-Cコネクタを活用できるようにするもの。USB Type-Cポート・コントローラ・インタフェース(TCPCi)仕様に準拠したSTのX-CUBE-USB-PDは、1ポートまたはマルチポート対応のUSB Type-Cポート・コントローラ(TCPC)チップの制御を目的としたソフトウェアで、STM32マイコンで使用するリソースを最小限に抑え、また、接続されたTCPC機器との相互運用も簡単に実現することができるという。さらに、急速充電器接続用のプログラマブル・パワー・サプライ(PPS)や、給電と受電の関係をケーブルの着脱を必要とせずに短時間に切り替えられるファスト・ロール・スワップ(FRS)に加え、データ通信/給電の対象を認証済みの機器に制限する認証メッセージの交換など、あらゆるUSB PD 3.0のオプションをサポートしている。

また、同ソフトウェアは、プロバイダ/コンシューマ/デュアル・ロール(DRP)モードがあるため、多種多様な機器設計においてUSB Type-Cのメリットを活用することができる。同ソフトウェアにより、高速給電機能がマイコンの負荷を効率的に軽減するため、すべてのSTM32でマルチポートの多機能USB PDインタフェースを制御できるようになるという。現在、X-CUBE-USB-PDのライブラリはCortex-M0またはCortex-M4を搭載したSTM32マイコンによるテストが完了しており、開発者は420品種以上から最適なSTM32マイコンを選択することができる。また、その他のSTM32マイコン向けのライブラリは2018年末までに追加される予定となっている。

さらに、ON Semiconductor社のFUSB307B用評価ボードであるON-FUSB3-STM32も入手可能で、開発の効率化に役立つという。この評価ボードには、STM32F072マイコンとUSB-Cコネクタが搭載されており、シングル・ポート制御のデモが可能となっている。なお、X-CUBE-USB-PDは、STM32Cubeソフトウェア開発エコシステムの一部で、同社Webページから無償でダウンロードできるということだ。