イーソルは、ヘテロジニアスマルチコアプロセッサ構成のザイリンクス製Zynq UltraScale+ MPSoC(以下 MPSoC)が2チップ搭載された、高度自動運転開発ボード「UltraZ AD」のエコシステムパートナーに、リアルタイムOSベンダとしてイーソルが選定されたことを発表した。

  • イーソルのヘテロジニアスコンピューティング向けRTOSを提供

    イーソルのヘテロジニアスコンピューティング向けRTOSを提供

イーソルは、シングルコアからヘテロジニアスなマルチ・メニーコアプロセッサをサポートするPOSIX仕様準拠リアルタイムOS「eMCOS POSIX」を中心に、統合開発環境「eBinder」、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの豊富なミドルウェアに加え、製品サポートや受託開発などを含むプロフェッショナルサービスを統合し、リアルタイムOSベースソフトウェアプラットフォームとして提供する。

eMCOS POSIXは、機能安全規格ISO 26262(自動車)が定めた開発プロセスに準 拠して開発されており、最高の安全度水準(ASIL D)のプロダクト認証の取得を計画している。また、イーソルのリアルタイムOS製品の開発プロセスは、医療機器向け安全規格IEC 62304に準拠していることが認証されている。

eBinderはreVISIONスタックに含まれるZynq-7000 Programmable SoCおよびMPSoC向けSDSoC開発環境と連携し、SDSoCで生成したFPGAライブラリをワンクリックでeBinderにインポートできる。また、ROS/ROS 2の組み込みシステムへの多彩な実装実績によって培われた適用技術および知見をベースとしたエンジニアリングサービスも提供する。

また、UltraZ ADは、自動運転/自律制御向け組み込み製品をターゲットとするディープラーニング開発ボード。ザイリンクスが開発する次世代ADASやインダストリアルIoT向けヘテロジニアスマルチコアプロセッサを搭載するMPSoCがUltraZ ADに2チップ搭載されている。

センサリングやセンサフュージョン、クラシフィケーションなどの物体認識・識別を担う「MPSoC #1」、センサリングやセンサフュージョン、クラシフィケーションなどの物体認識・識別を担う「MPSoC #2」といった機能を活用し、eMCOS POSIXと組み合わせることで、高い信頼性・リアルタイム性を確保しながら効率的に自動運転/自律制御システムを開発できる。

ザイリンクス代表取締役社長のサム ローガン氏は、次のようにコメントしている。「高度自動運転システムで求められる高精度の物体認識・識別と空間・経路探索の実現には、2つのMPSoCで分散協調処理をし、膨大な量のデータを高速処理することが必要不可欠です。イーソルのeMCOS POSIXの自律分散協調を可能にする分散型マイクロカーネルアーキテクチャや、機能安全対応、組み込み機器へのROS/ROS 2適用技術は、UltraZ ADが提供する自動運転ECU開発プラットフォームのコンセプトに合致しています。弊社は今後も重要なエコシステムパートナーであるイーソル様と共に、ADAS/自動運転システム開発の支援に貢献してまいります。」

一方、イーソル 常務取締役の上山 伸幸氏は、次のように述べている。「UltraZ ADに搭載するリアルタイムOSのベンダとして弊社をエコシステムパートナーにご選択いただき大変光栄です。UltraZ ADとの親和性が高いeMCOS POSIXの分散ヘテロジニアスコンピューティングにより、高い信頼性・リアルタイム性を確保しながら、MPSoCのコア間およびMPSoC間のシームレスな高速通信や開発効率の向上を強力に支援します。」