宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月2日、JAXA 相模原キャンパスに宇宙の歴史や最新技術などを紹介する展示スペース「宇宙科学探査交流棟」をオープンした。同日、オープンに先駆けて行われた記念式では、相模原市 市長やJAXA理事長などがあつまり、同施設への期待や、今後の展望などが述べられた。

  • 宇宙科学探査交流棟

    宇宙科学探査交流棟の様子。数多くの衛星やロケットなどの模型が展示されている

同施設には、ロケットや科学衛星などの模型から、大気圏再突入に必要な技術など、数多くの展示がなされている。入口を抜けて一番に目が留まるのは、「はやぶさ2」を宇宙に送り届けた「M-Vロケット」のフェアリング部だ。

  • 宇宙科学探査交流棟

    M-Vロケットのフェアリング部

展示スペースの述べ面積は約1,100m2。天井は10mと高く、それを利用し、小惑星探査機「はやぶさ2」や惑星分光観測衛星「ひさき」が宙に浮いていたり、先述のM-Vロケット以外にも「S-520」ロケットが立っていたりと、迫力のある展示がなされている。

  • 宇宙科学探査交流棟

    「はやぶさ2」の模型

  • 宇宙科学探査交流棟

    惑星分光観測衛星「ひさき」の模型

  • 宇宙科学探査交流棟

    単段式固体燃料ロケット「S-520」

同施設は複数のゾーンで分かれており、入口を入ってすぐの「宇宙科学のあゆみゾーン」では、日本のロケット研究の歴史が書かれたパネルが設置されている。日本の宇宙開発の父、糸川英夫氏の書き物やペンシルロケットに始まり、1955年~現在にいたるまでの日本の宇宙開発の歴史を、さまざまな資料を見ながら振り返ることができる。

  • 宇宙科学探査交流棟

    糸川英夫の書き物。「日本の航空は今後どうなるか」というタイトルで、戦後間もない日本における宇宙開発の必要性などが記載されている

  • 宇宙科学探査交流棟

    ペンシルロケットの模型。「1955年、東京の国分寺で発射されたペンシルロケットの『シュッ』という短い発射音が、日本の宇宙開発の産声だ」と説明されていた

「夢や希望の創出の場」へ願いを込めて

  • 奥村直樹氏

    JAXAの理事長を務める奥村直樹氏

  • 加山俊夫 市長

    相模原市の加山俊夫 市長

記念式典に参加したJAXAの理事長である奥村直樹氏は「この空間が、地元の人はもちろん、民間企業の方、研究機関の方、子どもたち、さらには全国各地の人々の交流の場となり、宇宙に興味をもってもらうためのきっかけの場となってほしい」と語った。

また、相模原市の加山俊夫 市長は「JAXA 相模原キャンパスが(平成元年に)できてから、相模原市では、キャンパスの特別公開などをはじめとして、多くの人に宇宙への興味をもってもらえるような試みを実施できている。中でも昨年(2017年)には、海外の子どもたちを集め『こどもワールドサミット』という、言語や文化の壁を超え、地球の未来を考える素晴らしいイベントを開催することができた」とJAXAへの感謝を述べたほか、「これからも、相模原キャンパスおよび宇宙科学探査交流棟が、次世代を担う若者や子どもたちに、夢と希望を与えてくれることを期待している」と、今後の発展を願うコメントを残した。

  • 宇宙科学探査交流棟

    テープカットの様子

宇宙科学探査交流棟ではそのほか、水星探査用の探査機や月探査用のローバなども展示されている。

  • 宇宙科学探査交流棟

    再使用ロケット実験機 「RVT-9」

  • 宇宙科学探査交流棟

    RTV-9で使用するエンジン

  • 宇宙科学探査交流棟

    月惑星探査ローバ

  • 宇宙科学探査交流棟

    「国際水星探査計画ベピコロンボ」で使用予定の水星磁気圏探査機「MMO」(模型)

  • 宇宙科学探査交流棟

    M-3S II ロケット(模型)

  • 宇宙科学探査交流棟

    M-V ロケット(実機)

同施設の開館時間は10:00~17:30(原則として毎週月曜日・国民の祝日の翌日、年末・年始が休館)となっている。今回のオープンを機に、迫力のある模型を見ながら、日本の宇宙開発の軌跡を辿ってみてはいかがだろうか。