ソニーは10月23日、先進運転支援システム(ADAS)用途の前方センシングカメラ向けに、1/1.7型・有効742万画素RCCCフィルタ(赤とクリアを組み合わせたフィルタ)採用の積層型CMOSイメージセンサ「IMX324」を商品化し、2017年11月からサンプル出荷を開始すると発表した。サンプル価格は1万円(税別)で、量産出荷予定は2018年6月としている。

車載カメラ向けCMOSイメージセンサ「IMX324」

同製品は、従来比約3倍の水平解像度を持ち、遠方撮影では約160m先にある交通標識の高精細な撮像を実現する。さらに低照度の環境においては、感度をより高めるための画素加算モードの搭載により、高感度2,666mVを実現し、月明かりに相当する暗さの夜間でも歩行者や障害物を撮像することが可能。また、夜間においてヘッドライトや街灯により明暗が混在する場面でも、暗い部分は高感度、明るい部分は高解像度で交互に撮像する機能を持たせ、後段の信号処理との組み合わせによる高精度な認識が可能となる。

遠方における比較サンプル画像。従来比約3倍の水平解像度を持ち、遠方撮影では約160m先にある交通標識の高精細な撮像を可能にする

低照度時(0.1ルクス)の比較サンプル画像

画素部分と信号処理部分を重ね合わせた積層構造を車載カメラ向けイメージセンサとして採用することにより、高解像度ながらも小型サイズと低消費電力を実現した。なお、同製品は今後、米Intelの子会社であるMobileyeがADASおよび自動運転技術に向けて開発中のイメージプロセッサー「EyeQ4」、「EyeQ5」と接続可能となる予定だという。

そのほか、自動車向け電子部品の信頼性試験基準「AEC-Q100 Grade2」を2018年6月までに満たす予定。さらに、自動車向け機能安全規格「ISO26262」に準拠した開発プロセスを導入し、車載向けとしての機能安全要求を満たす設計品質を実現しており、故障検知・通知・制御などの機能安全要求レベル「ASIL B(D)」に対応している。また、イメージセンサから出力される画像の改ざんを防ぐセキュリティー機能も実装している。