半導体市場の調査会社IC Insightsは6月27日(米国時間)、CMOSイメージセンサ(CIS)市場は、2016年の105億ドル規模から、2017年は9%増となる115億ドルとなり、以降も年平均成長率(CAGR)8.7%で成長を続け、2021年には159億ドルに達するとの予測を発表した。また、個数ベースでは、CAGR11.5%で成長するとの見通しも明らかにした。

CMOSイメージセンサの世界市場(単位:10億ドル、左軸)と出荷個数(単位:10億個、右軸)の推移。2008年から2016年までは実績、2017年から2021年までは予測、2016~2021年の年平均成長率は金額ベースで8.7%、個数ベースでは11.5% (出所:IC Insights)

CISは、デジタルカメラやカメラ搭載携帯電話向けに大きく伸びたのち、2000年代後半に一時、伸びが鈍化。その後、スマートフォン市場の拡大を皮切りにその用途を、自動車、医療、マシンビジョン、セキュリティ、ウェアラブルシステム、VR/AR、個人認識などへと広がりを見せ、市場を拡大してきている。

CISのサプライヤ間で生じている技術競争は現在、ToF(Time of Flight)技術をはじめとする3Dイメージングや距離測定のためのさまざまな技術を使用することで、3次元センシング能力を高める方向に移行しつつある。ToFは、光(多くの場合、赤外線レーザーまたはLED)が被写体で反射してセンサに戻るのに要する時間を測定することによって、被写体の動きを感知するとともに距離を計測する。CMOS技術により、ToF機能を小型チップモジュールに統合することが可能になったが、さらなる1チップ化の方向にサプライヤは舵を切っている。主な3Dイメージセンサのサプライヤとしては、ソニーをはじめ、Samsung Electronics、OmniVision、ON Semiconductor、STMicroelectronmicsなどが挙げられるほか、Infineon Technologiesも、ToFを最適化した3Dイメージセンサを携えて当該分野への参入を図っている。

将来の成長市場は自動車

今後、CISが活用される市場の中でもっとも伸びそうな分野は自動車だとIC Insightsは予測している。自動車向けCIS市場は、年平均成長率48%という高い成長率で伸び続け、2021年には23億ドルに達し、CIS全体の14%を占めるまでに成長すると予測している。

実際、自動車は現在、運転支援から自動運転に向けて、イメージセンサの搭載数量が増加する傾向にあり、需要はうなぎのぼりである。車載CIS市場はON Semiconductorが5割近いシェアでトップとなっており、次いでOmniVisionが2位となっている。スマートフォンなど民生向けに強みを有するソニーは、今後大きな成長が期待される車載向けに力を入れようとしているが、参入障壁が高く、苦戦しているのが実情だ。

一方、これまで急激に成長し、最大市場となっているスマートフォンを含めた携帯電話向けCIS市場は、2021年までの年平均成長率は2%と、微増の状態ガ続く。それでも市場規模で見ると2021年で76億ドルと、すべてのCIS市場の中で47%を占める巨大市場であることには代わりがない(2016年には全CIS市場の67%を占めている)。すべてのスマホにカメラが搭載されることは当たり前で、今後はデュアルカメラの採用が伸びるとの予測で、金額以上に出荷数量が伸びることが見込まれるという。