高柳 匡 氏(提供・仁科記念財団)

仁科記念財団は10日、原子物理学とその応用分野での優れた研究業績をたたえる仁科記念賞を、量子力学の基礎などで重要な役割をしている「量子もつれ」と呼ばれる現象を画期的な公式で説明した高柳匡(たかやなぎ ただし)京都大学基礎物理学研究所教授(41)に授与すると発表した。授賞式は12月6日に東京都内で行われ、賞状、賞牌と副賞50万円が贈られる。

授賞理由となった業績題目は「ホログラフィ原理を用いたエンタングルメント・エントロピー公式の発見と展開」。高柳氏は、物理学の重要理論「超弦理論」で理論的に示されていた「ホログラフィ原理」に着目。同原理を使って微小な粒子状態が相関する状態になっているとされる量子もつれ現象を計算する公式を考案した。高柳氏らが貢献した研究分野は、量子重力理論や超弦理論などの量子力学の基礎になると注目されている。

仁科記念賞は、原子物理学者の故仁科芳雄博士(1890~1951年)の功績を記念して1955年創設された。これまでの受賞者からは、江崎玲於奈、小柴昌俊、小林誠、益川敏英、中村修二、梶田隆章の6氏のノーベル物理学賞受賞者が輩出している。

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