米PTCは6月7日、米マサチューセッツ州ボストンで開催中の年次イベント「LiveWorx 2016」において、AR開発ツール「Vuforia Studio Enterprise」を発表した。

VuforiaはPTCが2015年11月にQualcomm Connected Experiencesから買収したARプラットフォーム。これまで、Vuforia Studio Enterpriseのベータカスタマーであるキャタピラー社によるデモンストレーション動画が公開されるなどしている。

Microsoft Build 2016内で行われたHololensとVuforiaのデモンストレーションの様子を収めた動画

Vuforia Studio Enterpriseでは、PTCのCreoをはじめとする主要3D CADのデータを取り込んで簡単にAR用コンテンツを作成することができる。マーカーに対してどのような位置・寸法でモデルを表示するかは柔軟に設定できるため、製品全体だけでなく特定の部品にクローズアップすることも可能。

Creo Illustrateで作成したアニメーションをVuforia Studio Enterpriseに流用することで、AR上でアニメーションを展開できることから、フィールドエンジニア向けの作業手順書の作成に適していると考えられている。

また、ARモデル上にメーターなど任意のアイコンを設定して、ThingWorx上の製品データとひも付けることが可能。LiveWorx 2016でのデモンストレーションでは、キャタピラー社の発電機の燃料・電力情報をリアルタイムでAR表示していた。

Vuforia Studio EnterpriseのAR開発画面。画面の左側がリソースビューで、右側がプロパティ情報。真ん中がキャンパス。CADデータは最適化して取り込むため、サクサクと動くARモデルが生成される。

もう1つVuforia Studio Enterpriseで特徴的なのが「VuMark」という機能。従来のAR生成はマーカーとなる2次元バーコードを読み込むことで行われていたが、周囲のデザインとマーカーのデザインを統一できないという課題があった。これに対し、Vuforia Studio EnterprizeではVuMarkにより、自由なデザインをバーコードとして保存することが可能だ。

VuMarkによりマーカーのデザインを自由に設定可能

Vuforia Studio Enterpriseの正式なリリース時期はまだ発表されていないが、パイロットプログラムに参加することでパイロット版の提供を受けることが可能だ。