森下仁丹は、神戸大学大学院医学研究科感染症センターの白川利朗准教授と共同で特許を出願している「ビフィズス菌を応用した経口ワクチン」の技術をもとに、C型肝炎の経口治療ワクチン候補を開発したと発表した。

同成果の一部は、ワクチン専門科学誌「Vaccine」オンライン速報版で公開されるという。

慢性C型肝炎症例は、有効な治療法の開発に向け、さまざまな治療薬の開発が進められているが、いずれもウイルス増殖を標的にした方法で、患者自身のC型肝炎ウイルスに対する特異的な免疫力を高めて治癒率の向上を図る治療法の開発はほとんど無かった。

今回、研究グループは、ビフィズス菌を利用した経口内服という簡便な投与方法で、C型肝炎ウイルスに対する免疫力を高める経口治療ワクチン候補を開発。実際にマウスに経口投与したところ、ウイルスに対する免疫力が高まることが確認され、今後、治癒率の向上をもたらす併用治療薬として実証されれば、C型肝炎の治療に役立つことが期待されると説明している。

なお、今後、神戸大学と森下仁丹は、動物実験により薬効・薬理試験や安全性試験などの前臨床試験を行う予定だとしており、独自の腸溶性シームレスカプセルに内包することで腸への到達性を向上させ、経口ワクチンとしての効果、利便性や保存性を高めることも検討していくとしている。

HCV NS3抗原エピトープを菌体表層に提示するビフィズス菌の作製手順