アルバックは3月14日、高速分光エリプソメータ「UNECS」シリーズとして、ポータブルタイプなどを含めた5機種を発表した。

分光エリプソメータは光の偏光状態の変化を利用し、透明または半透明薄膜の膜厚や光学定数(屈折率や消衰係数)を非接触で高精度に測定する測定器である。半導体やフラットパネルディスプレイをはじめ、多くの分野で使用されており、同社では、2010年より高速測定とコンパクト化を実現させた200mm電動ステージモデル「UNECS-2000」および300mm自動ステージモデル「UNECS-3000A」の2機種を販売している。

今回追加された新製品は、持ち運び可能なポータブルタイプの「UNECS-Portable」、150mm手動ステージを備えた「UNECS-1500M」、150mm自動ステージを備えた「UNECS-1500A」、200mm自動ステージを備えた「UNECS-2000A」、成膜装置などへ組み込める「UNECS-1M」の5機種。また、測定波長の拡張(380nm~760nm)や小径スポット(0.3mm径)の追加など、仕様面も強化しているので、用途に最適な製品を選択できる。

「UNECS-Portable」は、測定部の重量がわずか2.2kgと軽量・コンパクトなポータブルタイプ。小型サンプル用に簡易的な固定ステージが付属されているが、ステージを取り外せば大型のサンプルでも測定できる。専用のキャリーケース(オプション)も用意されているので、成膜装置の膜厚評価用ツールとして携帯性にも優れている。「UNECS-1500M」は、150mm径対応の操作性の良いR-θ式手動ステージが付属したベーシックタイプ。サンプルの測定位置決めを手動で簡単に行うことができる。「UNECS-1500A/2000A」は、150/200mm径対応の自動R-θステージが付属し、基板内の膜厚分布を自動で測定してカラーマップ表示をすることができる。2000点の高精度マッピング機能や3D表示、観察カメラなどオプションも充実している。「UNECS-1M/1MV」は、成膜装置へ組み込めるビルトインタイプで、大気タイプの他、真空環境に設置できる真空タイプも用意されている。

また、全機種で測定波長を標準タイプ(530nm~750nm)と可視分光タイプ(380nm~760nm)から選択することができる。さらに、スポット径も標準タイプ(1mm径)と小径タイプ(0.3mm径)から選択できる(真空ビルトインタイプを除く)。

なお、価格はポータブルタイプが700万円から、手動ステージタイプが800万円から、自動ステージタイプが950万円から、装置ビルトインタイプが680万円から。アルバックでは、同シリーズの年間販売目標を30台としている。

持ち運び可能なポータブルタイプの分光エリプソメータ「UNECS-Portable」