実際に活用できてこそロボットに意味が生まれる

「魚型ロボットもいっぱいあって、もちろん見ていて楽しいから、水族館とかで使われることに対してもそれはそれでありだと思うのね。お客さんを楽しませていて立派な役目を果たしているけど、では技術的にその次は? となった時に、やはり「楽しい」だけでは、難しくなってくる。ロボットは実際に使えてこそだと思うんだよね。まぁ、僕は個人的に癒やし系のロボットが好きじゃないから(笑)、そういう見方をしてしまうのかも知れないけど。癒やし型が悪いというわけではないよ。実際、産業技術総合研究所(産総研)の柴田崇徳先生が開発した「パロ」(画像28)など、福祉用途で役に立っているロボットもいくらでもあるわけだし」という。

「癒やし系のロボットは、実際の動物のようにエサをやる必要もなければ、かみついたりする心配もなくて、介護施設などで利用するにはトイレの必要もないから衛生面などの面でもすごくすぐれている。ただ、まぁ、僕の性格なんだろうけど、癒やしだけで終わってしまうのではなくて、その次は? となっちゃう」という。筆者が個人的に感じるところでは、魚ロボットの弱点というよりも、ロボット全体にいいたいことなのだと思うが、ロボットを癒やしにだけに使って満足してしまうのは技術的にもったいない、ということなのだと感じる。

よって、水中ロボットの使い道を浦特任教授は常に模索しているようで、「僕が作って、今日も東京大学生産技術研究所のチームが持ってきている魚雷型の「Yebis-URA(エビスラ)」(画像29)にタブレットをくっつけて、水泳をしている人のそのフォームを撮影して画面に表示しながらすぐ下を並進させたのね。泳いでいる人は、自分のフォームをリアルタイムでチェックできて、修正していけるという使い方。これは割とうまくいっていて、賞ももらったんですよ」。これは、水泳選手にとっては結構いいのではないだろうか。普通なら泳いでいるところを撮影して、あとからチェックするわけだが、その場で泳ぎながらであれば、自分の修正すべき箇所がすぐわかるので、フォームの修正もしやすいはずである。

画像28(左):産総研 知能システム研究部門 知的インタフェース研究グループの柴田崇徳主任研究員とパロ。画像29(右):東大生研が今大会に持ち込んだYebis-URA。AUVである

「あと、僕が考えたのは、プールを歩いたり泳いだりして行う形のリハビリがあるけど、1人で黙々とやるのは寂しいから、犬を連れて散歩するのと同じでできる「散歩水中ロボット」。そのリハビリを行っている人の周囲を一緒に泳いでくれて、たまに水を噴くとかかまってくれ。紐をつけて「どっかいっちゃダメよ」なんて感じでいつも周りを泳いでくれる。そのリハビリの人が泳ぐ場合でも、その人のすぐ下の水中を泳いでくれると、1人でするよりとても楽しいと思うんですよ。まぁ、これは癒やし系が好きじゃないとかいっておきながら、1種の癒やし系なんだけど(笑)。でも、そういうニーズはあると思うんです。それを考えると、コースの端まで行った時にノンストップでターンできるといいだろうから、魚型にとってもその方面でも目があるんじゃないかなという気になるかな。こういう用途なら、人型でも魚型でも使い道があるんじゃないかなと思う。と、いろいろと考えるんだけど、時間がなくてねぇ(笑)」と、アイディアはいろいろと尽きないようである。ぜひ、面白そうなので実現してほしいところだ。以上で、浦特任教授へのインタビューは終了。続いては、JAMSTECのミニ見学ツアーだ。