Alteraは2月25日、Intelに14nmプロセスを採用した次世代FPGAの製造を委託することを明らかにした。これまで約20年にわたり大手ファウンドリのTSMCに製造委託をしてきた同社がここに来て、なぜIntelを選択したのか。その理由について3月1日、同社Vice President、Product Marketing, Corporate Marketing, and Technical ServicesのVince Hu氏が日本のメディア向けに説明を行った。

今回、14nmプロセスでIntelを選択したことについて同氏は、「Intelはプロセスリーダーであり、FinFETテクノロジーもすでに量産実績を有しており、ファウンドリビジネスとしての実績もある。また、複数のファブで同じ製品を製造可能な生産能力も有しており、同社の14nmトライゲート(Tri-gate)プロセス(FinFET)を採用することで、ウルトラハイエンド向けFPGAとして超高性能と低消費電力を両立した製品を提供でき、新たな活用法をFPGAが提示できるようになる」とする。一方、TSMCとも継続して開発を行っていくことも同社は明らかにしており、この2つの流れにより、「テーラードアプローチとして、アプリケーションに応じたパワー、パフォーマンス、コストを選択的に実現した製品群を提供できるようになる」と説明する。

Alteraでは、TSMCの20nmプロセスを採用したFPGAと、Intelの14nm Tri-gateプロセスを採用したFPGAを平行して提供していく流れになるとの見方を示す

IntelのTri-gateプロセスは14nmでは第2世代となるが、TSMCをはじめとしたピュアファウンドリはこれまでFinFETを採用しておらず、最大手のTSMCでも16nmではじめてFinFETプロセスを導入することとなる

同社のFPGA製品ラインアップとしては、「Cyclone」、「Arria」、「Stratix」と大きく3つのファミリが提供されているが、同氏が語るウルトラハイエンド向けFPGAが従来のハイエンド向けFPGAであるStratixを指すのか、それともその上を行く新たな製品ファミリを指すのかについては、「今回の合意はあくまでAlteraがIntelの14nm Tri-Gateプロセスを活用してFPGAを提供するというもの。今後、具体的な製品プランニングなどを詰めていくことになるため、現時点ではどういったものに適用させるかは決定していない」としている。ただし、400Gなどの「次世代通信インフラ」、LTE-Advanced以降の「次世代ワイヤレスインフラ」、コンピューティングストレージなどを中心とした「HPC」、そしてマイクロレーダなどの「航空/防衛」の4つの分野をメインターゲットと考えているとし、そうした分野以外、とくにメインストリーム以下の分野向けにはTSMCの20nmプロセス採用FPGAを提供するといった使い分けが進むとする。

また、AlteraとIntelはAtomコアとFPGAを組み合わせたSoC「Atom E600Cシリーズ」をIntelが発表しているが、今回の契約により、IntelのプロセッサをFPGAが搭載する可能性がでてくる可能性についても言及。「AlteraはARMコアを搭載していくことを進めており、Intelのプロセッサを搭載する可能性については何とも言えない。IPとして提供する可能性などはあるかもしれないが、今回はIntelの14mn Tri-gateプロセスをFPGAベンダとしてAlteraが独占的に利用できる、という契約であり、そうしたオプション的な内容を含んではいない」という市場のニーズ次第で検討を進めるという回答にとどめた。

なお、TSMCはロードマップとして、2013年第1四半期に20nmプロセスの量産を開始し、2013年第4四半期中に16nm FinFETプロセスへの移行を計画しており、その後、2016年に10nmプロセスを提供することを掲げている。一方のIntelはTICK-TOCKモデルとして2年ごとにプロセスの微細化を実現してきており、14nmプロセス製品を2014年に投入する予定としている。その後はTSMCと同じ10nmプロセスの投入を予定しているとされるが、同氏は「Alteraとしては、カスタマのニーズを満たすために、最適なプロセスを選択しつづける義務がある。我々はさまざまな製品ブランドを提供しており、将来的にはそれぞれのブランドに応じたプロセスを選択していくことになるだろう。それゆえ、次はどこのファウンドリのプロセスを活用するか、といわれれば、すべての先端プロセスを提供するファウンドリに可能性がある」と述べており、どこかのファウンドリとだけ、といった限定的な生産委託を行っていくつもりがないことを強調した。