数々のPV作品を手掛け、映画『ソラニン』で注目を集めた三木孝浩監督。彼の最新作『管制塔』が劇場公開される。バンド Galileo Galileiの同名楽曲からインスパイアされ作られたという映画『管制塔』について、三木監督に話を訊いた。

三木孝浩
1974年生まれ。徳島県出身。早稲田大学第一文学部卒。大学在学中自主映画『青空』で早稲田インディーズフィルムフェスティバル グランプリ受賞。大学卒業後、ORANGE RANGE、YUI、など様々なアーティストのPVを手掛ける。2010年 映画『ソラニン』で長編監督デビュー。最新作は『管制塔』(2011年4月9日公開)

Galileo Galileiの楽曲から生まれた映画

――この作品はどのようにして制作されたのでしょうか。

三木孝浩(以下、三木)「昨年の夏頃、Galileo Galileiのライブを初めて見る機会がありまして、最初に観た時に『管制塔』という曲が凄く良くて印象に残ったんです。後でメンバーに話を訊いて、それがバンドで最初に作った曲だと知りました。そこで、この曲の誕生をモチーフにドラマを作るというアイデアが生まれて、作ってみたいと思ったんです。その時は、まさか映画にまでなるとは思っていませんでした」

Galileo Galileiの楽曲『管制塔』が映画のモチーフとなっている

――物語の舞台もGalileo Galileiのメンバーの出身地である稚内が舞台ですね。

三木「企画が動き出してから、稚内にロケハンに行ったのですが、何というか曇りがちで、北欧のアイルランドのような印象を受けたんです。その風景を見て、こういう場所から、彼らの音楽が生まれたのだと、僕の中で凄く納得したんですね。それで、稚内の風景や彼らの曲をモチーフにオリジナル作品を作ろうという事になったんです。あくまでもドキュメンタリーではなく、この場所を舞台にした物語を作りたいと思いました」

――Galileo Galileiというバンドに関しては、どのような印象をお持ちですか。

三木「十代のバンドなので、テクニックには甘い部分があったり、繊細さで売るバンドかなという先入観があったのですが、ライブでもそういった弱さがまったくなかったんです。むしろ、蒼さはあるけれど、弱い蒼さではなく力強い蒼さを感じました」

――『管制塔』では、どのような部分を意識して物語を構築されたのでしょうか。

三木「映画はオリジナルストーリーですが、Galileo Galileiのバンド結成エピソードや曲が生まれた背景などは、上手く物語に取り入れたいと思っていました。部屋の押入れで古いギターを見つけてバンドを始めたというエピソードや、スタジオの横に雀荘があって、そこでミニライブをやったというエピソードは、Galileo Galileiの本当の話なんですよ」

『管制塔』

日本の最北端 北海道の稚内に暮らす15歳の中学生 藤田駈(山﨑賢人)。何処にも居場所を見付けられなかった駈は、転校生 滝本瑞穂(橋本愛)と心を通わせる。やがてふたりは、バンドを結成することになるのだが……

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