開催20年目を記念

スーパーコンピューティングを主要テーマとする学会である「Supercomputing 1988」の開催から、今年は20年目にあたる。Supercomputingという名称は、その後、Computingだけの学会ではなくなってきたということで、SCという名称に変更され現在に至っている。

このSCは、コンピュータ関係では、世界の2大学会であるACM SIGARCH(Association for Computing MachineryのArchitecture関係のSpecial Interest Group)とIEEE Computer Society(The Institute of Electrical and Electronics Engineersのコンピュータ関係の部門)がスポンサーとなっている。

この20年目にあたるSC08が、11月15日から21日に掛けてテキサス州の州都であるオースチンのコンベンションセンターで開催された。SCは学会であるので、論文の発表や講演が行われるテクニカルプログラムがコアアクティビティであるが、それに加えてスーパーコンピューティング関係の研究を行っている研究所や大学がその成果を展示したり、関係の製品を作っている企業がそれらを展示する場が設けられる。

SC08の開催を示すAustin Convention Centerのサイン

今年のSC08の参加者は、初めて1万人を超え、約1万1,000人が参加した。そのうち、約4,600人が論文発表などのテクニカルプログラムに参加し、6,000人あまりは展示の出展者と展示だけを見に来る人たちである。

また、テクニカルプログラムの参加者も展示を見ることが出来るので、1万人あまりの人が展示に来場したことになる。

今回のSC08では、米国以外の53カ国からの参加者があり、米国内では、48州から参加者があった。なお、米国内で参加者が無かった州は、ワイオミング州(有名なイエローストーン国立公園があるが、人口は50州の最下位の50番目)とサウスダコタ州(ワイオミング州の東隣りで、恐竜の化石で有名なバッドランド国立公園や大統領の顔を岸壁に彫刻したラシュモア山国立公園があるが、人口は47位)である。

今回のテクニカルプログラムでは、277件の投稿の中から選ばれた59件の論文の発表とDELLの会長兼CEOのMichael Dell氏の基調講演、4件の招待講演などが行われた。 また、SC20周年を記念して、21回全部のSCに出席した20人あまりの人にメダルが授与された。今回、Seymour Cray賞を受賞したSteven Wallach氏も皆勤の一人である。

日本人の皆勤は、国立情報学研究所の三浦教授ただ一人であった。三浦先生は、東京大学を卒業後、イリノイ大学に留学され、伝説のスパコンであるILLIAC IVの開発にも参加したスパコン界の草分けである。皆勤表彰のお祝いを申し上げると、「ただ、出席しただけで、別に偉いことではない」と仰るので、「出張費用だけでもかなりのものでは」と申し上げると、「半分程度は米国在住時代の参加だから」と仰っていた。

小柳レポートで有名な、現在は東大を定年退官され、工学院大学の工学部長を勤めておられる小柳先生もSCの常連であるが、数回は出席出来なかった年があるとのことで、やはり、三浦先生の20年間の連続出席は、凄いことである。