皆さんは、「ダイナミックリコンフィギュラブルプロセッサ」(Dynamic ReConfigurable Processor : 動的再構成可能プロセッサ)をご存知でしょうか。おそらくは専門家はともかく、世の中…いや、広い意味での技術者に限ったとしても、「ダイナミックリコンフィギュラブルプロセッサ」などという言葉すら聞いたことのない人の方が圧倒的に多いでしょう。そこで、本稿ではこのダイナミックリコンフィギュラブルプロセッサ(以下、DRP)について、述べていきます。

本当は「こんなに簡単!」とか「サルでもわかる」、「大企業役員にもわかる」などというタイトルにしたかったのですが、自粛しました。多少の難しい専門用語が出てくるかもしれませんが、根気良くお付き合いください。

「ダイナミックリコンフィギュラブルプロセッサ」の意味

大規模な演算処理を高速に行う場合、処理を構成する演算器を1つしか使わないよりも複数使った方が有利です。その理由は、いわゆる並列処理が行えるからです。その複数ある演算器に対し、目的に応じて演算内容や繋ぎ方といった構成を変えることを「リコンフィギュア」(reconfigure)といいます。そして「リコンフィギュアできる」という形容詞が「リコンフィギュラブル」(reConfigurable)です。もう少し噛み砕いていうと、目的に応じてさまざまな処理を実現するために、ハードウェア(回路)の構成を自由に変えられるという意味です。

しかしDRPにはそれだけでなく「ダイナミック」(dynamic)という言葉が付いています。この言葉は「力強い」という意味だけでなく、「動的」という意味も持っています。DRPでは、後者の意味となります。つまり、処理の途中でもそれをリセットさせる必要なしに、しかも大きな時間遅れなしに(dynamicに)、構成を変えることができる(reConfigurable)ということです。これは、ある意味で究極の柔軟性を持つ並列処理といえます。

こういった処理を行うプロセッサ(processor)がDRPなのです。