
エアバッグにも使われるナイロン基布やシートベルト、シート本革など、クルマの製造工程において発生するリサイクルやリユースが難しい廃材の利活用は自動車業界全体の課題。これまで使い道がなく廃棄処分されていたこれらに新たな命を吹き込み、自動車用素材ならではのタフネスさを発揮できるアウトドアギアやステーショナリーとして再生・商品化する取り組みが、TOYOTA UPCYCLEプロジェクト。
【画像】これが上質な本革シート端材で作るプレミアムなツギクラフトだ
プロジェクトの新たな挑戦として、レクサスのシートに使われている高品質な牛革の廃材を用いたプレミアムアップサイクルブランド「Tsugi-Craft(ツギクラフト)by TOYOTA UPCYCLE」がスタート。アップサイクル=エコ、カジュアルといった固定概念から一歩踏み出し「プレミアムアップサイクル」という新たな価値を提案する、自動車業界の未来を見据えた取り組みを紹介する。
Tsugi-Craft by TOYOTA UPCYCLEのブランドタグラインは「ツギの技、ツギの人、ツギの未来。」。「ツギ」というワードには「継ぐ」「繋ぐ」「次の未来へ」という3つの思いが込められている。素材となる端材を継ぎ合わせるだけでなく、古き知恵と現代の技とを繋ぎ、人と人とを繋ぎ、その先の未来へと紡いでいく……という3つのテーマに掛けている。
「これまでのアップサイクルはエコやカジュアルといった領域で広がりを見せてきました。そこから一歩踏み出し、アップサイクルにプレミアムを宿すという挑戦を今回展開するバッグで試みています。試行錯誤するなかで以下の3つの答えを導き出しました」
1:「継ぎ」が生み出すデザイン
自動車用シートレザーの端材、廃材を接ぎ合わせて再構築したパッチワーク。捨てられる運命にあった小さな素材をひとつひとつ丁寧に繋ぎ合わせて、ひとつの面を成すことで、プレミアムを宿すという課題を解決した。
2:自動車を目指した素材ならではの特性をフルに生かす
自動車用シートレザーはものすごく耐久性が高い。そして軽い。こうした機能を伴った素材だからこそ、その強みをフルに生かし、アクティブなシーンにも合うプレミアムなレザーバッグを具現化した。
3:手仕事と工業的生産技術の融合
山形県の工場で生まれたレクサスシート用本革の廃材を活用し、日本のバッグ縫製工場の細やかな手仕事と、トヨタ自動車が長年培ってきた工業製品の生産ノウハウを融合させた独自の生産アプローチを採用。素材を継ぎ合わせるという古き知恵、現代の技の融合によってこれまでにないプレミアムなモノづくりを実現した。
トークセッションではエシカルディレクターの坂口真生(さかぐち・まお)氏が進行役となり、バッグのデザインを担当したクリエイティブディレクターの一法師 拓門(いっぽうし・たくと)氏、プロジェクトの企画とデザインを担当したトヨタ自動車 カラー&感性デザイン部 アドバンスドCMFXデザイングループ グループマネージャーの加藤 舞(かとう・まい)氏が、プロジェクトに込めた思いや、試行錯誤を重ねながら商品化に至るまでのプロセスを明かした。
自動車用素材の先行開発をしている加藤氏は「このプロジェクトに参画した理由は、素材を作っている側として責任が伴うからです。新素材を使う技術については、トヨタ自動車は長年の技術の蓄積があり、開発が進んでいる一方で、これまで捨てられてきたものを生かそうとすると、まったく新しい領域になってきて、ゼロからの技術の模索になります。サイズが整ったものを使いこなすのと、廃材として出てきてしまう、サイズが不均一なものを生かすというところは、まったく別の技術になるので、そこでの新しい技、技術の開拓をゼロからやらなければならず、とても大変なチャレンジになりました」と、不ぞろいの素材を使うアップサイクルならではの難しさを語った。
一法師氏は『端材の状態のレザーはサイズが小さく、形もバラバラで扱いがすごく難しい。その小さなレザーを集めてバッグを作るためにはある程度の面積が必要になるので、それを形にするためにはどのようにつなぎ合わせるべきか? というのが課題でした。当初はなるべく継ぎ目が見えないように隠しながら1枚の布に見せるつもりでした。そこに、プレミアムな要素を加えるためにヒントになったのが、日本では古くから「素材を継ぐ文化」が受け継がれてきたという事実。例えば、漆器の金継ぎやファッションにおける襤褸(ぼろ)です。金継ぎはあえて金を継ぎ目に入れて目立たせることでデザインとしてオシャレに昇華している。アップサイクルにおけるバッグも継ぎ目のデザインをもっと目立たせたらいいのでは? という逆転の発想から生まれたのがパッチワークでした。問題は我々のイメージどおりのものを縫製工場の職人さんが形にすることができるか否か。ここはトヨタ自動車が持っている工業的ノウハウと、バッグの縫製工場が培ってきた手作業のノウハウを融合させてパッチワークを完成させました』と、デザイナー目線でのひらめきとこだわりを語った。
各モデル名に付された数字は、バッグを構成する「Tsugi」のパネル数を表している。レザーの抜型はパネルごとに形が異なり、それらをひとつずつ縫い合わせる高度な匠の技でバッグに仕立てた。クルマ用のレザーは軽くて高温、乾燥、湿気、紫外線といった過酷な車内環境にも耐えられるので、デリケートなイメージのレザー製品であってもアクティブに気兼ねなく普段使いできるのが魅力的。すべての製品がユニセックス・エイジフリーで使えるシンプルで都会的なデザインで、ビジネスから旅行まで幅広いライフスタイルにマッチする。
食肉の副産物である牛皮から作られた本革を、シートの形状に合わせて型抜きすると隙間や端が余る。それらを寄せ集めて上質なレザー製品として再循環させるのがアップサイクルの目的。最終的には生産過程で端材が出なくなり、アップサイクルをゼロにすることが目標だ。「このプロジェクトは短期で終わったら意味がない。トヨタ自動車を含めたモノづくりにかかわる製造業全体の課題であり、同業他社とも垣根を超えながら、こうした取り組みを共にするパートナーを増やしていきたい」と、プロジェクトオーナーの中村氏は力を込めた。
Tsugi-Craft by TOYOTA UPCYCLEはTOYOTA UPCYCLE ECサイトでの取り扱いとなる。なお、2025年11月23日まで期間限定で、蔦屋家電+(※)でも販売する。
※:蔦屋家電+東京都世田谷区玉川1丁目14番1号 二子玉川ライズ S.C. テラスマーケット 二子玉川 蔦屋家電1F
[Tsugi-Craft by TOYOTA UPCYCLE ラインアップ]
■15-Totebag(フィフィティーン トートバッグ)
・価格:9万4600円
・サイズ:高さ30cm×幅50cm×マチ10cm
・素材:牛革100%、ナイロン60%、ポリウレタン40%
・ウイークデイのビジネスシーンから週末のカジュアルな使い方までさまざまなスタイルに調和する、軽くて丈夫で汎用性の高いトートバッグ。シートベルトの端材を使った付属のストラップで、ショルダータイプにもアレンジできる。
■9-Handbag Large(ナイン ハンドバッグ ラージ)
・価格:9万9000円
・サイズ:高さ30cm×幅30cm×マチ10cm
・素材:牛革100%、ナイロン60%、ポリウレタン40%
・9枚のオリジナルパッチワークが際立つスリムで上品なハンドバッグ。やや大きめのサイズ感で収納力も抜群。付属のストラップでショルダータイプにも変化させられる。
■9-Handbag Medium(ナイン ハンドバッグ ミディアム)
・価格:9万3500円
・サイズ:高さ25cm×幅25.5cm×マチ9cm
・素材:牛革100%、ナイロン60%、ポリウレタン40%
・ややコンパクトなサイズ感ながら必要な収納力を備え、匠の技で繋いだ9枚のパッチワークがデザイン的なアクセントとレザーの高級感を演出。洗練されたフォルムが日常使いからフォーマルまであらゆるスタイルを格上げする。
■15-Pouch Large(フィフィティーン ポーチ ラージ)
・価格:9万9000円
・サイズ:高さ45cm×幅45cm×マチ21.8cm
・素材:牛革100%、ナイロン60%、ポリウレタン40%
・上質な本革ならではの柔らかなシルエットが特徴の大容量ポーチ。ゆとりあるサイズ感は荷物が多くなるカジュアルシーンでも大活躍。シートベルト由来の頑丈なストラップが付属し、多様なスタイルにアレンジできる。
■15-Pouch Medium(フィフィティーン ポーチ ミディアム)
・価格:9万3500円
・サイズ:高さ38cm×幅40cm×マチ20cm
・素材:牛革100%、ナイロン60%、ポリウレタン40%
・程よいサイズ感と収納力をバランスさせた、カジュアルさの中にもプレミアム感漂うポーチ。日常のスタイルにさり気ない個性と実用性をプラス。
■6-Pouch(シックス ポーチ)
・価格:6万4900円
・サイズ:高さ23cm×幅27cm×マチ12cm
・素材:牛革100%、ナイロン60%、ポリウレタン40%
・必要最小限のアイテムをスマートに収納できる、軽くてコンパクトなポーチ。耐久性に優れるレクサスレザーがライフシーンに彩りを添える。
<文=湯目由明 写真=湯目由明/トヨタ>
■問い合わせ先
トヨタアップサイクル