
「旅行先でレンタカーを運転中、オービスに撮られた!」。そんな場合、どうなるのか、どうすればいいのか、という話をしよう。
1、オービスの取り締まりの基本
2、レンタカーの場合
3、遠い旅先へすぐまた行けない
4、出頭すると写真を見せられ…
5、罰金と免停はどうなる
1、オービスの取り締まりの基本
そもそもオービスは、現場では速度測定と写真撮影を行うだけ。固定式オービスの多くは、撮影した写真を警察庁舎の中央装置へ通信回線で伝送する。固定式も可搬式も、写った車両ナンバーから警察は所有者を特定。こんな内容の通知(通称、呼び出し状)を郵送する。
「××様名義の普通乗用自動車××番が×年×月×日×時×分頃、××道路で速度違反(自動速度取締装置により測定・写真撮影)をしたことについて、お尋ねしたいことがありますので出頭してください。運転していたのがあなたでない場合は、運転していた者を出頭させてください」
呼び出し状は何日ぐらいで届くか、一概にはいえない。早ければ1週間以内か。ある裁判で、オービスの担当者は音楽隊と兼務、月の半分は練習や演奏に出かけており、という話が出たこともある。
2、レンタカーの場合
オービスの呼び出し状は、車両の所有者であるレンタカー業者へ郵送される。業者は、呼び出し状が来たことをお客に連絡する。お客が知らん顔すれば、お客の情報を警察へ伝えることになるだろう。業者が違反者(の特定につながる重要な情報)をあえて隠せば「犯人隠避罪」(刑法第103条。3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)で処罰されかねない。
3、遠い旅先へすぐまた行けない
呼び出しの通知書は、違反地、つまり旅先の警察への出頭を求める形になっている。違反地の警察本部、警察署、交通機動隊、高速道路交通警察隊などだ。違反地が遠いと、当然ながら、なかなか行けない。
「すみません、遠くて、指定の日には行けそうもないんですけど」
「いつなら来られる。翌週か?」
「ええと、来年の夏休みにはかならず…」
とか処理が滞っては困る。そこで、遠くてなかなか出頭できない違反者については、違反者の住所地の警察へ出頭させることがよくある。そういうのを「捜査嘱託」という。画像は、可搬式オービスがらみで、情報公開法・条例により開示を受けた、大量の文書の一部だ。こんな文書がしっかり用意されているのである。
4、出頭すると写真を見せられ…
出頭すると、写真を見せられる。斜め横または斜め上から違反車両がばっちり写っている。撮影日時や道路名、測定値などが焼き付けられている。撮影と同時に、自動的に焼き付けるのだ。違反者の顔部分、ナンバープレートを拡大した画像が添えられていたりする。
この写真を「郵送やメール添付でまず送ってもらえる」かのような情報を以前ネットで見かけた。デマだ。写真はオービス事件において最も重要な証拠であり、違反者に送るなんて日本ではあり得ない。「出頭前に電話で測定値を聞ける」かのような情報もある。尋ねるのは違反者の勝手だが、測定値を教える警察官はいないだろう。
出頭して写真を見せられた違反者は、3つのことを確認される。
・運転席に写っているのは自分であること
・その日時にその車両を運転したこと
・測定値の速度を出したこと
確認したら、供述調書を録取され、違反キップを切られ、その日は帰宅する。なお、住所地の警察へ出頭して「運転席に写っているのは自分じゃない」「こんなスピードは出してない」とか否認すると、「じゃあ、こっち(住所地)では処理できない。この事件は違反地の警察へ戻す」と言われることもあるようだ。
5、罰金と免停はどうなる
違反者に特に不服がない場合は、後日、住所地の簡易裁判所(いわゆる交通裁判所)へ出頭し、略式の裁判手続きにより罰金を払うことになる。速度違反の罰金の上限は現在10万円だ。超過速度がきわめて大きかったりして悪質だと、正式な裁判手続きで拘禁刑(※)を求刑されることになる。そっちの上限は現在1年だ。 ※2025年6月から懲役と禁錮が拘禁刑になった。
【参考記事】「とある野球選手」が超過80キロのスピード違反。贖罪寄付100万円も、懲役刑に
免許停止などの行政処分は、罰金や裁判の手続きとは別に、住所地の警察の運転免許センターなどで執行される。運転免許の行政処分は法律上、運転者の住所地を管轄する公安委員会(実質は警察)が行うことになっている。
「速度の出し過ぎはなぜいけないと思いますか?」
速度違反の裁判で、検察官、裁判官は被告人に対し、そう尋ねることがある。危険の発見が遅れがち、対処が遅れがち、事故ったとき被害が甚大になる、それが正解だ。初めての道路、慣れない道路では特に、速度の出し過ぎに注意したい。
文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりのジャンルを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し、大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から交通違反以外の裁判傍聴にも熱中。
