総合モビリティサービス企業であるホンダモビリティソリューションズ(HMS)は、カーシェアリングの利用実態を明らかにすべく、都市部(東京、愛知、大阪、福岡)に居住する15歳〜69歳の男女2,000名を対象に独自調査を行った。

  • 日本のカーシェアリングの実態を調査

今回は調査ではモビリティ領域の中でも注目度の高い"シェアードモビリティ"の中でも特に実用化の進んでいる「カーシェアリング」にフォーカスを当てている。

1.レンタカーとカーシェアリングの違いは「時間」と「コスト」にあり

  • レンタカーとカーシェアリングの違いは「時間」と「コスト」

そもそもカーシェアリングと聞いたとき、「すでに私たちの生活に根付いているレンタカーと何が違うの?」という疑問が浮かぶ人も多いかもしれない。まずはこの点を比較・整理してみよう。

●レンタカーの特徴

レンタカーは使用時間に応じて料金を支払う方式。事前予約は必要なことが多いものの、会員登録などは不要だ。また最低数時間から数日にかけての利用となり、旅行やドライブなどのまとまったイベントに用いるユーザーが多いとされている。

●カーシェアリングの特徴

カーシェアリングは多くが月会費を支払う登録制度を設けている。利用時にはアプリなどで予約し、追加で時間・あるいは距離に応じた料金を支払う方式が一般的だ。10分単位など短時間利用の予約が可能なので大きなコストはかかりにくいと言える。

また、店舗やスタッフが不要な分ステーション数も多いので、自宅の近くで借りることができたり、短距離の移動であれば給油なども不要(利用料金と合わせて、距離料金として請求)なことから、気軽に利用することができる。そのため、買い物や送り迎えなどの日常生活で普段使いするユーザーが多いとされている。

借りた場所と同じステーションに自動車を戻す方式(ラウンドトリップ)が主流であるものの、直近ではレンタカーと同様に、借りた場所とは別のステーションに返却する乗り捨て方式(ワンウェイ)も選択できるようになってきている。

●若い世代の半数近くはカーシェアリングを「使ってみたい」

ここからはカーシェアリングに関する調査の結果を見ていこう。

カーシェアリングを利用したいと思うか(運転免許を取得予定の人は、取得したものと仮定して回答)について、カーシェアリングの概要を説明した上で聞いた。すると、以下のような結果となった。

  • カーシェアリングを利用したいと思っている人は全体の3割以上に

カーシェアリングを利用したいと思っている人は全体の32.9%を占め、若い年代ほどその割合が高くなっている。若い世代はシェアリングサービスに慣れており、より肯定的な傾向にあることは、この結果の一因として考えられる。

●若者は「クルマ離れ」していない? 複雑な自動車事情

カーシェアリングの利用に前向きと思われる若い世代だが、言われて久しい「若者のクルマ離れ」とは本当なのだろうか。従来の自動車の利用方法として一般的と考えられる、所有についてのデータを見てみよう。

  • 年長の世代ほど自動車の所有率が高い

自動車の所有率は全体で46.6%だった。世代別に見ると、年長の世代ほど所有率が高く、もっとも高いのは男性の60代で73.7%。対して、自動車を今後所有したい(し続けたい)と思っているかを尋ねると、所有を希望する人の割合は54.3%だった。

この数値を使い、「自動車が欲しい」と思う気持ちと実態が一致しているかどうかを示したのが以下の図となる。この結果から、自動車を欲しいと思っている若い世代が多いことがうかがえる。

  • 自動車を欲しいと思っている若い世代が多い

※性別年代ごとに、所有希望の割合から所有の割合を引いた値(パーセントポイント)を算出
※値がゼロ:自動車を欲しいと思う気持ちと実態が一致
※値がプラス:現在自動車を所有していないが、自動車が欲しい
※値がマイナス:自動車を手放したいと考えている

次に、所有に関わらず、今後自動車を利用したいかと聞いたところ、62.9%が利用したいと答えた。ここで先程と同じく「利用したい」という気持ちと「所有」が合致しているかを見てみよう。するとすべての年代で、自動車を所有していなくても自動車を利用したいと考えている人が多いことが明らかになった。

  • すべての年代で、自動車を所有していなくても自動車を利用したいと考えている人が多い

※値がプラス:自動車を利用したいが所有はしていない
※値がマイナス:自動車を所有しているが利用したいとは思っていない

また、そもそも自動車を「所有するつもりがない」ものの「利用はしたい」と思っている人も一定程度いる。自動車を所有するつもりはないと答えた人に対して、自動車を利用したいかを聞いたところ、利用したいと考える人は24.0%を占めた。

以上のデータから、若い世代をはじめすべての世代で「自動車が欲しい」「利用したい」「けれど持てていない」という人が多いことが明らかになった。また、所有しなくとも利用はしたいという人もおり、カーシェアリングという選択肢が広がれば、ニーズに合致する層が一定存在しそうだ。

【アンケート調査概要】

調査名称:自動車のシェアサービスなどに関する意向のアンケート
調査期間:2024年5月24日〜5月25日
調査対象:都市部(東京、愛知、大阪、福岡)に居住する、15歳〜69歳の男女
調査数:2,000名
調査方法:Webアンケート