リコーは4月30日、PCR検査の基準となる遺伝子検査用標準物質「RICOH Standard DNA Series」の1つとして、世界的に感染が広がっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因となる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)用のDNA標準プレートの販売を開始したと発表した。

  • RICOH Standard DNA Series

    新型コロナウイルス用の「RICOH Standard DNA Series」

同シリーズは、リコーと農業・食品産業技術総合研究機構、日本製粉グループのファスマックの3者による共同研究の成果物で、リコー独自のバイオプリンティング技術により、DNA分子数を1分子単位で規定して遺伝子検査用の容器に注入したもので、100分子以下の低濃度領域においてもPCR検査の検出性能を正確に測定することができるという特徴がある。

今回販売された新型コロナウイルス向け製品は、遺伝子検査用の容器に、新型コロナウイルスに特徴的な遺伝子配列を組み込んだDNA分子を1分子単位で任意の個数、コントロールして注入することが可能だという。これにより、例えば、遺伝子検査用の96ウェルプレートあるいは8連チューブのウェルに、1分子から100分子、あるいは1分子から16分子と、DNA分子数に勾配を付けて分注し、微量なウイルスに対する検査装置および試薬の検出限界や感度の検証、検査装置や試薬の性能や品質の管理などに活用することができると同社では説明している。

これにより、実際の検体のPCR検査を行う前に同製品で検出精度を確認することで、試薬やPCR検査装置の確認を行う目安となることから、感染していてもウイルスが検出できない「偽陰性」の確率を減らすことなどにつながることが期待できるようになるという。

なお、同社では、1日も早く新型コロナウイルスの感染拡大が終息し、復興に向けた活動が進展することを願い、グループをあげてできる支援および製品開発に一つひとつ取り組んでいくとしている。

  • RICOH Standard DNA Series

    「RICOH Standard DNA Series」製造の様子