上智大学は4月5日、飼いネコが自分の名前と、一般名詞や同居するネコ(同居ネコ)の名前を聞き分けていることを実験的に明らかにしたと発表した。

同成果は、同大 総合人間科学部心理学科の齋藤慈子 准教授らの研究グループによるもの。詳細は英国ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)発刊の学術雑誌「Scientific Reports」に、2019年4月4日付のオンライン版で公開された

人間に飼われているネコ、いわゆるイエネコは、およそ1万年前よりヒトと共生を始めたことで誕生したと言われ散るが、ヒトとのコミュニケーション能力についてはあまり研究されてこなかった。

今回の研究では、イエネコがヒトが発する「自分の名前」を、「他の名詞」や「同居ネコの名前」と区別しているかどうかを、実験によって検証したという。その結果、ネコが「一般名詞」や「同居ネコの名前」と「自分の名前」を、異なるカテゴリの刺激として認知していることが示唆される結果を得たとするほか、ヒトの音声に共通する特徴を聞き分けていることが示されたとする。

ただし、今回の実験は一般家庭で飼育されているネコと、ネコカフェで飼育されているネコを対象として実施、いずれの飼育環境でも、「自分の名前」と「一般名詞」を区別していると考えられる結果が得られましたものの、ネコカフェでは、「同居ネコの名前」と「自分の名前」を区別しているという結果は得られなかったという。 なお、今回の結果について研究グループは、ネコのこの能力は、特別な訓練の結果得られたものではなく、ヒトとの日常的な関わりの中で獲得されたものであるといえると説明している。