京都大学(京大)は7月19日、青森県の約12万年前の地層から、19世紀に人類の狩猟によって絶滅させられた海鳥の一種メガネウの化石を発見したと発表した。

同成果は、京大理学研究科の渡辺順也 教務補佐員、松岡廣繁 助教、群馬県立自然史博物館の長谷川善和 名誉館長らの研究グループによるもの。詳細は米国の学術誌「The Auk: Ornithological Advances」オンライン版に掲載された。

  • 今回の研究の概要

    今回の研究の概要 (出所:京都大学Webサイト)

人類の活動は、地球上に生息する多くの生物種にさまざまな影響を与えてきた。その最も顕著な例は、ドードーやオオウミガラスなどに代表される、人類の狩猟の影響により絶滅に追いやられたとされる動物種の存在だ。

このような種の存在については、自然保護や種の保全への関心の高まりと共に人口に膾炙するようになってきたが、人類の影響を受ける前の「自然な」分布域など、それらの種の進化の歴史や生態の実態については、確たる証拠の不足から不明な点が多く残っている。

歴史上人類の活動により絶滅に追いやられた種として、北太平洋のメガネウと呼ばれる海鳥が知られている。この種は1741年にベーリング海の調査航海において発見された大型の海鳥で、コマンドルスキー諸島のベーリング島にのみ生息していた固有種とされていた。 今回の研究では、青森県で化石が発見されたことで、この海鳥がかつてはベーリング島から青森県に至る広い範囲に生息し、12万年前以降に生息域が縮小あるいは移動したことが示された。

研究グループは今回の成果を受け、メガネウは人類に発見された時点で、かつての生息域の大半を失っており、ベーリング島だけに生き残っていたところを人類にとどめをさされたことが推測されると説明している。