国際自然保護連合(IUCN、本部・スイス・グラン)が絶滅の危機にある世界の絶滅危惧種をまとめたレッドリスト最新版をこのほど公表した。それによると26197種の生物が絶滅危惧種に分類された。中でもオーストラリアに生息する固有のトカゲやヘビなどの爬虫(はちゅう)類は外来種や気候変動などの影響により7%が絶滅の危機にあることが分かった。

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    写真1 絶滅危惧種のグラスランドイヤレスドラゴン(提供・IUCN/日本自然保護協会、(c) Will Osborne)

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    写真2 絶滅危惧種のモーリシャスオオコウモリ(提供・IUCN/日本自然保護協会、(c)Martin D. Parr)

IUCNと、IUCN日本委員会の事務局である日本自然保護協会によると、今回93577種の生物が評価され、その3割近い26197種が絶滅危惧種に分類された。レッドリスト最新版が特記したのはオーストラリア固有の爬虫類で、野良ネコなどの外来種により年間6億匹の爬虫類が補食されているという。中でもトカゲの仲間のグラスランドイヤレスドラゴンはこれまで3段階ある絶滅危惧種ランクの最も下だったが、危機度が1段階上がった。IUCNがオーストラリアの爬虫類に注目したのは、オーストラリアには世界の爬虫類の約10%の種が存在しており、いくつかの種は生態系構成や食物連鎖で重要な役割を担っているためという。

このほか、インド洋の国、モーリシャスに生息する大型のモーリシャスオオコウモリは危機度が1段階上がった。マンゴーへの食害を懸念した政府による駆除の影響で、推定個体数は2015年から1年間で半減した。IUCNは今回、日本の在来ミミズ43種も評価した結果、モリオカジュズイミミズなど3種が絶滅の危機にあることが分かった。集約的農業や都市の拡大などが影響しているという。

レッドリストは絶滅の恐れがある生物の生息状況などを調べて分類したリスト。世界的に信頼度が高いリストはいくつかある中で1966年に作成されたIUCNのリストが最も権威があるとされる。絶滅危惧種については危急度に応じて3ランクに分類し、絶滅種、絶滅の懸念があまりない低懸念種なども掲載している。

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