自動車の性能を向上させ、安心と安全を提供する電子システムは、ドライバーはもとより、政府レベルからの要求もあり、次々と発売される新車にさまざまな機能が搭載される状況となっている。こうしたエレクトロニクス化の進展、ならびに内部のメモリ価格の上昇が後押しとなって、2018年の自動車向けIC市場は、前年比18.5%増の323億ドルになる見込みであると、市場調査会社のIC Insightsが発表した。2017年も同19.4%と高い成長率を示した同市場だが、これで3年連続のプラス成長で、市場規模としては過去最高を更新する可能性が高まったという。

  • 車載半導体市場および前年比成長率の推移

    車載半導体市場および前年比成長率の推移 (出所:IC Insights)

ここ数年、自動車用IC市場は、2014年に同11.5%増と2桁成長を記録した後、2015年には同2.5%減と一転した。しかし、その後、2016年に同10.6%増、2017年も同19.4%増と高い成長を見せる状況となってきた。この2015年のマイナス成長は、主な車載半導体であるマイコン、アナログ、DRAM、NAND、そして汎用/専用ロジックICといった複数のカテゴリで、価格の低下が進み、出荷個数は伸びを相殺した結果だが、それ以降は、システムモニタおよび監視、安全確保、運転支援、ADAS、自動運転といった関連のICが新たに伸びたこと、ならびに2016年後半から継続して半導体メモリが値上がりし続けてきたことが背景にある。

IC Insightsが6月に発行する予定の「IC market Drivers 2018年版」に掲載される市場予測によると、車載IC市場は、2017年から2021年にかけて年平均成長率12.5%で成長し、2021年には436億ドルに達するとの見通しが示されている。この成長率は、産業、民生、官・軍事、コンピュータ、通信などのほかの最終製品市場よりも高い値で、IC Insightsによる、この間の全ICの平均成長率予測6.1%と比較しても非常に高い値となっている。

  • 最終用途ごとのIC市場の成長率推移

    最終用途ごとのIC市場の成長率推移(2017年~2021年平均)。自動車向けがもっとも成長が期待される市場となっている (出所:IC Insights)

なお、自動車向けICは、2018年のIC市場全体の7.5%を占めるにすぎないが、2021年には9.3%にまで拡大することが見込まれている。中でも、アナログIC(汎用アナログおよび特殊用途向けアナログ)は、 2018年の自動車用IC市場の45%を占めるほか、マイコンも23%を占める見込みだという。

また、近年、自動車用アナログ半導体のサプライヤは買収ラッシュが続いており、その動向が注視される分野となっている。こうした市場に大きな影響を与えた買収としては、2015年のNXP SemiconductorsによるFreescale Semiconductorの買収があげられる(そのNXPをQualcommが買収しようという動きもある)ほか、Analog DevicesによるLinear Technology、ルネサス エレクトロニクスによるIntersil、ON SemiconductorによるFairchild Semiconductorの買収といった動きがあり、今後も中止していく必要があるといえる。