Maxim Integratedは11月21日(米国時間)、光学式のパルスオキシメータ/心拍センサ「MAX86140/MAX86141」ならびに心電図(ECG)および生体インピーダンス(BioZ)アナログフロントエンド(AFE)「MAX30001」を発表した。

世界の医療コストは現在、全世界のGDPの10%を占めるまでに肥大してきており、世界的に医療費の抑制が課題となっている。そうした状況から、センサを活用して生体(バイタル)データを取得、ネットワークを経由して蓄積し、予防医療につなげる遠隔監視ソリューションに注目が集まり、2021年には5000万人を超す人が活用することも期待されている。

こうしたバイタルデータをセンシングするウェアラブル機器に求められるのは、バッテリの長寿命化や小型化はもちろんのこと、予防医療の観点から臨床での活用が可能な高い精度も求められることとなる。そうしたニーズに対し、同社では、「Bio-Potential(生体電位)」「Temperature(温度)」「Optical(光学)」「PMIC(パワーマネジメント)」の4つの技術に注力することで対応を図ってきており、今回の新製品群も、そうしたものとなる。

Maximがヘルスケア分野に向けて注力する4つの技術

MAX30001は、ウェアラブル機器への搭載を念頭に、臨床クラスの精度を実現することを目指して開発されたAFE。競合他社ソリューションに比べ、電池寿命を2倍に延長しつつ、サイズは半減。精度も心臓の拍動ごとのデータを収集することによって、高精度なものを収集できるとしており、これにより重要な症状が始まった段階を見極めることができるようになるとする。

MAX30001の概要

一方のMAX86140/MAX86141は、医療機器のほか、フィットネスやウェルネスなどでの活用も想定して開発されたセンサで、競合ソリューションと比べ、必要な電力を半分以下とするほか、サイズも約3分の1にできる一方で、脈波のデータを拍動ごとに収集することが可能な高い精度を実現している。

MAX86140/MAX86141の概要

Maximのインダストリアル &ヘルスケア製品事業部エグゼクティブディレクターであるAndrew Baker氏

Maximのインダストリアル &ヘルスケア製品事業部エグゼクティブディレクターであるAndrew Baker(アンドリュー・ベイカー)氏は、「最終的な目標は、自分の健康を天気予報を見るように手軽に予測できるようにすること」と説明しており、予防医療が社会に広がることで、ダッシュボードを見ると、自身の健康状態が一覧となってみることができるような未来を実現したいという。また、「Maximは、より健康な世界を実現したいと思っている。遠隔医療の需要は増加することが見込まれており、われわれはそのニーズに応えるソリューションを提供する準備がある」ともコメントしており、こうした製品が搭載された最終製品は、FDA(米国食品医薬品局)の認可を受ける必要があるが、2018年には市場に登場できるのではないか、との予測を披露していた。

なお、MAX86140およびMAX86141はすでに量産出荷を介ししており、単価はMAX86140が3.05ドル、MAX86141が3.35ドル(いずれも1000個以上、FOB USA)となっている。また、MAX30001もすでに入手可能な状態となっており、価格は5.83ドル(1000個以上、FOB USA)となっている。

Maximの製品で構成される予防的健康管理&フィットネスシステムソリューションの例