アジレント・テクノロジー(アジレント)は9月7日 、ガスクロマトグラフ(GC)の新製品「Agilent Intuvo 9000 GCシステム」を発表した。同製品は、9月7日~9月9日に幕張メッセ国際展示場で開催されている分析機器・科学機器関連の展示会「JASIS 2016」に展示されている。

「Agilent Intuvo 9000 GCシステム」

同製品のコンセプトや技術について、同社のバイスプレジデント兼ガスクロマトグラフィー事業本部(Gas Chromatography Division)ジェネラルマネージャー Shanya Kane氏、バイスプレジデント兼化学・サプライ事業本部(Chemistries and Supplies Division)ジェネラルマネージャー Michael Feeney氏にお話を伺った。

左から、Agilent Technologies バイスプレジデント兼ガスクロマトグラフィー事業本部 ジェネラルマネージャー Shanya Kane氏、バイスプレジデント兼化学・サプライ事業本部 ジェネラルマネージャー Michael Feeney氏

「そろばんから電卓へ、百科事典からGoogleへ……といったような圧倒的な変化を、GCにもたらしたかった。そのために複雑さを極力排除したものを開発したいと考えました」というKane氏。同製品の開発において、最も重要視したことは顧客へのヒアリングだという。

実際に、世界75社100名以上のユーザーやラボマネージャー、経営者へのインタビューを実施。GCのエキスパートが減少し、トラブルシューティングやメンテナンスが困難になってきていること、オペレーターはGCだけでなくさまざまな業務を行う必要があり、GCについて深く学ぶ時間が減ってきていること、また、ラボの予算が削減される一方で、さらなるアウトカムが期待されるようになっていることなどが明らかになった。「そこで我々は、簡単にすばやい操作が可能で、より小さくそしてスマートで環境にやさしいGCを開発しました」(Feeney氏)。

具体的には、まず流路全体および分析カラムの温度調節に直接伝導加熱(ダイレクトヒーティング)を採用したことで、従来のエアバス方式オーブンの半分未満の消費電力、および半分程度の設置面積を実現した。より速く加熱冷却することができるため、スループットの向上が期待できる。

流路およびカラムの温度調整には「ダイレクトヒーティング」を採用

また、従来のGCではフェラルが使用されていたが、同製品では面シール方式で直接接続されたフェラルフリーの構造を採用している。これにより、音と感触で正しく接続されたことを確認できるため、従来のGCで生じていたフェラルの誤装着によるリークの発生を防ぐことができる。

写真中央の「面シール」を利用して直接接続し、フェラルフリーの構造を実現

ガードカラムとしての役割を持つ使い捨ての「Guard Chip」が搭載されたことも同製品の特徴だ。Guard Chipは、カラムの頂部に付着する不要な物質を取り除くことができるもので、カラムをトリミングする必要性がなくなることから、リテンションタイムのずれの心配がなくなり、再校正する手間や時間を節減することが可能となる。取り外しや装着も数十秒程度で簡単に行うことができる。

「Guard Chip」の外観

写真中央上部にセットして使用する

また、タッチスクリーンのユーザーインタフェースを採用したことで、システムの状態やデータなどにリアルタイムで簡単にアクセスすることができるほか、メンテナンスの作業方法についても確認することができるようになった。これらの情報は、スマートフォンやタブレットに通知することも可能だ。なお、日本語化は11月を予定しているという。

タッチスクリーンのUIを採用。日本語化は11月を予定

Kane氏は「GCをもっと簡単に、使いやすくすることで、ラボのアウトカムや成果そのものの改善をサポートしていきたい」と話している。