15日、睡眠改善委員会のメンバーである古賀良彦は「軽度短期不眠状態に介入する臨床的意義 -4万人データが語るもの-」を発表した。

軽度短期不眠状態とは、通称「かくれ不眠」と呼ばれ、慢性的な不眠ではないが、睡眠に悩みを抱え、日常生活に影響があり、さらに睡眠の重要性に対して認識が低い状態の事を指す。

今回発表した内容は、こんな「かくれ不眠」者の回答を分析している。

調査結果は、睡眠改善委員会のホームページから回答した45,137名が対象。

結果によると、全般的に女性の方がやや「かくれ不眠」度が高く、若年層では生活の不規則さをうかがわせる項目が高かった。また、高年代層になると中途覚醒・早朝覚醒を疑う項目の割合が増大しており、東北太平洋の地域では、「イライラ」、「無気力」がやや高い傾向にあった。

さらに、回答者を特性の近いグループに分類する手法(因子・クラスタ分析)で「かくれ不眠」のタイプを下記5つに分類している。

タイプ 特徴
『寝ない生活』タイプ 20代が多く、仕事や遊びに多忙ゆえの不眠と推測される。関東で多く、近畿・その他の地方で少ない
『不眠症前兆』タイプ 女性比率がやや高い。20代や関東が多い。どの因子にも高反応。特に不眠慣れ因子が高く、全項目で過半数
『高度ストレス』タイプ 女性比率がやや高い。20代占有率4割。関東が多い。ストレス因子のみ高反応、不眠慣れ因子に無反応
『中高年』タイプ 40代以上に多い。東海以西の地方が多め。浅い眠り因子のみ高反応、ストレス因子に低反応
『単なる寝不足』タイプ 男性比率が高く、20代は少ない。全ての因子に無反応

一方、かくれ不眠者と睡眠正常者の比較解析を追加調査(N=224人)したところ、「かくれ不眠」者には、「深夜飲食」、「不規則な食事時間」、「首・肩・腰のハリやコリ」、「全身疲労感」、「冷え性」、「食欲不振」、「精神的負担感」の高い傾向が見られた。