• 週刊こむぎ 第109回


周囲から外れ、「間違った」発言や行動をしている誰かに「正しい」考えを振りかざしたくなる。読書嫌いの子供に「本を読みなさい」と強制するように、自分が良いと思っている方向に相手を向かせてやりたいと思う。逆に、他人にどう思われているか反応が気になって、ついつい周りに合わせるような言動をしてしまう…。他人との関わりの中で、悩ましい問題は尽きません。

ブッダは「良くない行いをして心が良くない傾向を持つのも、良いことをして心が清らかになるのも各自の問題であって、人は他人を清める(変える)ことはできない」と語りました。

アドバイスをしたり、自分の行いを示すことはできますが、他人の内面や考え方まではコントロールすることができません。他人がどう考え、振舞い、その結果としてどうなるかは、あくまでその人が向き合う問題であって、自分の目的や自分自身を向上させることを、おろそかにしてまで介入するべきではないというわけです。

また、ブッダは「削減経」という経典の中で、他人ではなく自分を戒める方法として、このように考えると良いと弟子にアドバイスをしています。

「他人に害を与える人もいるけれど、自分は他人に害を与えないようにしよう」 「嘘をついたり陰口を言う人もいるかもしれないが、自分は嘘や陰口を言わないようにしよう」 「他人と張り合ってばかりいる人もいるが、自分は人と比べないようにしよう」 「自分の主観にとらわれる人は多いが、自分は自分の考えにしがみつかないように心がけよう」(…等々、40項目以上にも及びます)

他人と自分を明確に分けて考え「こういうことが正しいのだ」と周りに押し付けるのではなく、「周りがこうしているから」という理由で同じ方向を向くのでもなく、自分のあり方を自分で選択して生きていくべきだと言う考えも読み取れます(周りの人々があなたをどう思うかについても、コントロールできるものではありません)。

他人の問題を抱え込みすぎているとか、周りの目を気にしすぎていると感じたら、これらの言葉や考え方を思い出してみてはいかがでしょう。新しい1年を、より主体的に歩んでいく手がかりがつかめるかもしれません。

■こむぎこをこねたもの、とは?

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■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。その後、「こむぎこをこねたもの その2」、「こむぎこをこねたもの その3」、「こむぎこをこねたもの その4」をリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。