12月13~14日は、ひとばんじゅう、ふたご座流星群が見られます。流れ星が多い日となる流星群でも、確実に流れ星の多さを実感できるのは、年に2回。8月のペルセウス座りゅうせい群と、今回のふたご座流星群だけ。通常の3倍どころか、10倍の数の流星をぜひごらんくださいませ。しかも、冬は夜が長く、一晩中流れ星は流れるので、年に1番流れ星が多く見える時期なのでございますよ。

えー、ふたご座流星群のピークが12月13日~14日です。ゴタクが長くなりますの、サクっと観察したい人は、まずどこでもサイエンスの13回目を読んでいただくのが吉です(はーと)。

――ゴタク開始
さてさて、はやぶさ2とか、彗星探査機ロゼッタとかで、プチ商売繁盛な東明でございます。2015年7月には、太陽系の最果て、冥王星に初の宇宙探査機ニュー・ホライズンズが最接近予定で、まもなく観測体勢に入ります。宇宙マニアは話題にことかかないですな。そうそう、アメリカのオリオン宇宙船もおましたなー。

こうした、流れには実は共通点があります。探査するのが「土星」とか「木星」とか「太陽」といったオオモノではなく、直径が1kmとか5kmとか、冥王星でも1000kmという、まあ、日本列島よりも小さな天体ってことなんですな。太陽系の主役はもちろんオオモノなのですが、太平洋に多数の小島があるように、太陽系内にはすでに60万個以上の小天体が発見されているのでございます。そして、そのほとんどは、21世紀になってから発見されているのだからびっくりですな。

なぜ、そうなるかというと、まずは観測技術の進歩ですね。400年前に発明された望遠鏡、40年前に発明されたCCDにマイクロプロセッサ、そしてネットなどが、天体の発見を偶然→職人芸→自動化→観測ロボットがやると変化させたのがポイントです。一本釣りが、魚群探知機積んだトロール漁法に変わったくらいの勢いなのでございます。おかげで、発見者の名前がつく彗星なぞは、パンスターズ彗星、リニア彗星、SOHO彗星…てな感じに観測プロジェクトの名前ばかり目立つようになってしまいました。

なぜ、ロボットを動員してまで、太陽系内の小天体を発見しようかというと、ま、太陽系内にどれだけどんな天体があるか知りたいんだよー、という地図職人のようなモチベーションももちろんあります。もちろん、それで太陽系の歴史を解き明かしたい、将来の資源開発を考える、地球に衝突する天体がないか確かめるといったこともございますな。危険性は、交通事故や正月のオモチの方が身近なのでございますが、直径5kmの天体が地球に衝突すると、人類まとめて滅びるくらいのインパクトがありますので、マジメに考えて対策しないとってなわけです。昔は不可能なのが、今ではやれるのですから、不治の病に薬が見つかったら、そらつかうよね。ってなわけですな。

さて、そんな太陽系の小天体ですが、一番明るく見えるのが小惑星のベスタですら、天の川がクッキリみえる満天の星空に、かろうじて存在が分かるかどうかの6等星。望遠鏡がない時代に、存在がわからなかったのも無理はないですな。

ところが、太陽系の小天体の中でも「見える」ものがあるのです。1つは彗星。ハレー彗星とか最近ではへールボップ彗星などが話題になりました。昨年はマニアの間では、アイソン彗星がすごいことになるぞといわれましたが、太陽に接近して蒸発しちゃいましたねー。マイナビの「天体観測&撮影編集部」にちょうどいい解説記事がありますので、なんのことー? という方はこちらをごらんくださいませ。こうした、彗星が肉眼でも見えるようになるのは、10年に1回とかそんな感じですな。それも都会で見るのにはかなりシンドイのが事実です。ハレー彗星なぞは、ちょっと田舎にいかないと見られませんでした。

一方、毎日見える。しかも、都会でも見える太陽系の小天体が、流れ星です。流れ星も、もともとは太陽のまわりをまわる、太陽系の一員。ただし、その大きさは、直径数ミリからセンチ以下がほとんど。宇宙空間にいるときは発見不可能。発見済みの60万個にはもちろん入っていません。でも、小さいぶん数は多いわけでございます。

そして小さな砂つぶが、地球に猛スピード(秒速で30km~70km)で衝突してきます。そうすると地球の空気とケンカをして負けて、雲散霧消。衝突エネルギーが、空気と、突入してきた砂つぶの揮発した成分を発光させるのが流れ星。というわけなのですな。光るのは0.5秒間程度。ああ、なんと一瞬の命ですな。でも、太陽をまわる別の天体の最期を見届けるということになるわけなのでございます。

――ゴタク終了

というわけで、そんな流れ星をつくる、砂つぶが特に密集した「川」を地球が渡るのが、12月13~14日。ふだんの10倍の砂つぶが地球に突入してきます。これは夏のペルセウス座流星群とならんだ年に2回のピーク。しかも、12月は夜が昼よりも4時間も長い(東京~福岡あたりで)なので、年で1番流れ星が沢山みられるというわけでございます。

あ、そうそう、ふたご座流星群、2014年は前の2013年とちょっとだけ条件が違うところがありますので、昨年のコラムから観察ポイントを修正して載録いたしますとー、

1. いつみるか?

2014年12月13、14日の「夜半まで」がベスト。 月があると流れ星は見えにくい。13日は月が出るのが11時前、14日は深夜0時ころ、それまでがよい。ただ、月を建物の陰にかくすようにすれば、影響は小さく。

2. どうみるか?

空がある程度見える場所で、30分程度、見上げてねばる。どの方向を見てもよい。 道具は不要。メガネやコンタクトはかけてできるだけ遠くのものがくっきり見えるように。 明るいものは見ない、街灯などのほか、携帯の画面や懐中電灯の直視もさける。 見るときには、寝転がるか、空をゆったり見あげられるのがよい。コットや寝椅子あれば最高。

3. やってはイケナイ

駐車場や畑など、他人の土地に「無断で」入るのは厳禁。 自動車や、野生の大型動物が入る可能性がある場所、落下や水濡れの可能性がある場所は避ける。 大声を出す。公共の場所などにゴミを散らかすなどはダメ。夜中ですしね。

タイムラプスとかで撮影にチャレンジするのもいいかもしれませんな。レンズは広角がよいです。ISO1600以上、ピント∞、1回の露出は15~30秒の連続撮影ですな。作例はコレとかですな。キヤノンのS120というコンデジだと「星空モード」なぞがあります。ワタクシも安くなってきたところをポチっちゃったのでチャレンジするつもりでございます。

あとは、寒さにくれぐれも対策して(ホントーに寒いです)ごらんくださいませー。

ちなみに、来年も連発して条件がよいので、曇ったり天気が環憂くても落ち込まずにね。来年も再来年もふたご座流星群はあります。

2014年12月中旬22時ころの東京の空と、ふたご座流星群の放射点 (C)国立天文台 天文情報センター

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。