Wordで作成した文書は、PDFに変換して保存することもできる。今回は、PDFの作成方法について詳しく紹介しよう。といっても、この操作手順はすでに知っている人も多いと思われる。そこで、PDFのオプション設定(画質、しおり、パスワードなど)を中心に解説を進めていく。

  • PDF作成のオプション設定、画質の比較、しおり、パスワードなど

    PDF作成のオプション設定、画質の比較、しおり、パスワードなど

PDFの基本的な作成手順

まずはおさらいを兼ねて、文書をPDFとして保存するときの操作手順から解説していこう。PDFに変換する文書をWordで開き、「ファイル」タブを選択する。

  • 「ファイル」タブの選択

    「ファイル」タブの選択

左側のメニューで「エクスポート」を選択し、「PDF/XPSドキュメントの作成」を選択する。続いて、「PDF/XPSの作成」ボタンをクリックする。

  • PDF/XPSドキュメントの作成

    PDF/XPSドキュメントの作成

ファイルの保存画面が表示されるので、保存先フォルダとファイル名を指定して「発行」ボタンをクリックする。これでPDFの作成は完了だ。

  • ファイル名の指定

    ファイル名の指定

「Adobe Acrobat」などのPDFビューアが開き、PDFに変換された文書が表示される。Wordの機能を使って「目次」を作成した場合は、目次の各項目がリンクとして機能するようになる。もちろん、文書内に自分で設定したリンクも正しく機能してくれる。

  • 作成されたPDF(目次を使ったジャンプ)

    作成されたPDF(目次を使ったジャンプ)

  • 作成されたPDF(リンクを使ったジャンプ)

    作成されたPDF(リンクを使ったジャンプ)

このように、Wordには文書をPDFに変換して保存する機能が用意されている。まだ知らなかった人は、この機会に必ず覚えておいてほしい。

なお、環境によっては「Adobe PDFを作成」などの選択肢が表示されているケースもあるが、こちらは有料版のAcrobatと連携させてPDFを作成する機能だ。有料版のAcrobatを契約していない場合は30日に1回しか使えないため、万人向けのPDF作成機能は「PDF/XPSの作成」と覚えておくのが基本だ。

PDFのファイル容量と画質

続いて、PDFに変換するときのオプション設定について紹介していこう。PDFの保存画面には「最適化」という設定項目が用意されており、「標準」または「最小サイズ」を選択できるようになっている。

  • 標準/最小サイズの選択

    標準/最小サイズの選択

この項目は「PDFのファイル容量を小さくしたいとき」に利用する設定項目となる。ここで「最小サイズ」を選択すると、文書内にある画像データを圧縮して(画質を落として)、PDFのファイル容量を小さくできる。

具体的な例を3つ紹介していこう。

まずは、画像が1つもない、テキストだけで構成される文書をPDF化した例だ。今回の例では、「標準」で作成したPDFが428KB、「最小サイズ」で作成したPDFが421KBという結果になった。

  • PDFのファイル容量の比較(1)

    PDFのファイル容量の比較(1)

その差はわずか7KBしかなく、ほとんど差のない結果となった。このように画像が存在していない文書では、「最小サイズ」を選択しても圧縮効果は実感できるほどの差にならない。ほんの少し(7KB)だけファイル容量が小さくなっているが、これは文書のメタデータを可能な限り省略した結果と思われる。もちろん、PDF文書の見た目は「標準」でも「最小サイズ」でも特に変化はない。

  • PDFを開いた様子

    PDFを開いた様子

それよりも、変換元のWordファイル(17KB)に比べてPDFが圧倒的に大きなファイル容量になることを認識しておく必要がある。これはフォントデータがPDFに埋め込まれることが原因だ。

一般的なWordファイルは、システム(OS)に保存されているフォントデータを使って文字を表示している。一方、PDFはフォントデータも含めた形でファイルが作成される仕様になっている。OSの壁を越えて「同じフォントで表示するため」と考えれば、これは仕方のない仕様といえるだろう。

次は、サイズの小さい画像を5点ほど配置した文書で比較実験を行ってみた例だ。こちらは「標準」で作成したPDFが1,300KB、「最小サイズ」で作成したPDFが1,141KBという結果になった。

  • PDFのファイル容量の比較(2)

    PDFのファイル容量の比較(2)

12%ほどファイル容量を小さくすることに成功しているが、そのぶん文書内の画質は劣化している。参考までに、「標準」と「最小サイズ」でPDF変換した文書を拡大表示した例を紹介しておこう。画質がそれなりに劣化していることを確認できるはずだ。

  • PDFを開いた様子(標準)

    PDFを開いた様子(標準)

  • PDFを開いた様子(最小サイズ)

    PDFを開いた様子(最小サイズ)

文書を通常の表示倍率(100%)で見たときも、「少し画像がボヤけているかな?」という印象は拭えない。あとは「画質の劣化とファイル容量をどう天秤にかけるか?」の問題となる。

画質を落としてでもファイル容量をなるべく小さくしたい、というのであれば「最小サイズ」を選択してもよいだろう。ただし、ファイル容量の減少は限定的なので、大きな効果を期待しないほうがよい。

最後は、A4(横)の用紙全体を占めるサイズで2枚の画像を配置した文書の例だ。こちらは「標準」で作成したPDFが2,252KB、「最小サイズ」で作成したPDFが1,010KBという結果になった。つまり、ファイル容量を半分以下に削減できたことになる。

  • PDFのファイル容量の比較(3)

    PDFのファイル容量の比較(3)

このように「サイズの大きい画像」が貼り付けられている文書では、「最小サイズ」の選択により大幅なファイル容量の削減を期待できる。ただし、「画質が落ちてもよければ」という条件が付くことに変わりはない。参考までに、こちらも「標準」と「最小サイズ」でPDF変換した文書を拡大表示した例を紹介しておこう。

  • PDFを開いた様子(標準)

    PDFを開いた様子(標準)

  • PDFを開いた様子(最小サイズ)

    PDFを開いた様子(最小サイズ)

「標準」で保存したPDFは、画像内にある小さな文字も鮮明に表示されている。一方、「最小サイズ」で保存したPDFは、小さな文字が一部、読みづらくなってしまっている。風景などのイメージ写真であれば少しくらい画像がボケても構わないが、地図や製品写真の場合は問題が生じるかもしれない。

よって、文書の内容に応じて「標準」または「最小サイズ」を選択するのが正解となる。サイズの大きい画像を何枚も貼り付けている文書の場合、「最小サイズ」を選択することで大幅なファイル容量の削減を期待できるだろう。あとは「画質の劣化を許容できるか?」という問題になる。

もちろん、これらの結果は文書の内容に応じてケース by ケースになるため、上記の例はあくまで参考として捉えてほしい。

PDF作成のオプション設定

画質のほかにも、WordのPDF作成機能にはオプション設定がいくつか用意されている。これらの設定を変更したいときは、ファイルの保存画面にある「オプション」ボタンをクリックすればよい。

  • オプション設定の呼び出し

    オプション設定の呼び出し

すると、以下の図のような設定画面が表示される。この設定画面では、文書内の一部のページだけをPDF変換する、などの指定が行える。

  • PDF化するページ範囲の指定

    PDF化するページ範囲の指定

そのほか、よく利用される設定項目として「ブックマーク」と「パスワード」が挙げられる。

  • ブックマークの作成とパスワード

    ブックマークの作成とパスワード

「次を使用してブックマークを作成」をオンにして「見出し」を選択すると、アウトライン レベルが「レベル1」~「レベル9」の段落がPDFの「しおり」に自動設定される。つまり、手軽にジャンプできる目次をいつでも呼び出せるようになる訳だ。PDFの使い勝手を向上できるので、アウトライン レベルを指定している文書では積極的に活用していくとよいだろう。

アウトライン レベルの詳細

  • 「見出し」でブックマークを作成した場合

    「見出し」でブックマークを作成した場合

「次を使用してブックマークを作成」をオンにして「Word ブックマーク」を選択した場合は、Wordでブックマークとして記録した位置がPDFの「しおり」に表示される。こちらは少し特殊な使い方になるが、状況によっては便利に活用できるだろう。

Wordのブックマークの詳細

  • 「Wordブックマーク」でブックマークを作成した場合

    「Wordブックマーク」でブックマークを作成した場合

「ドキュメントをパスワードで暗号化する」をオンにすると、PDFの作成時にパスワードの指定を求められる。ここでは、同じパスワードを2回入力して「OK」ボタンをクリックすればよい。

  • パスワードの指定

    パスワードの指定

これでパスワード付きのPDFを作成できる。もちろん、このPDFを開くには正しいパスワードの入力が必要となる。こちらは文書の機密性に応じて、適時設定すればよい。なお当然の話ではあるが、パスワードを忘れてしまうとPDFを開けなくなってしまう。念のため、パスワードの扱い方を含めて注意しておく必要があるだろう。

以上が、PDFの作成時によく利用されるオプション設定だ。簡易な設定ではあるが、有料版のAcrobatがなくてもある程度はPDFの設定をコントロール可能だ。PDFを作成する機会が多い人は、これを機に覚えておくと役に立つだろう。