日立製作所は10月28日、米国子会社のGlobalLogicとHitachi Digital Servicesを統合し、新会社「Hitachi Digital」を2027年4月1日に発足させると発表した。

新会社は27カ国に約3万5000人の専門人材を擁し、クラウド、データ、AIを活用した企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する。日立グループが持つ制御・運用技術(OT)を生かし、製造やエネルギーなどの産業分野におけるフィジカルAIの実装も推進する。

  • 2027年4月1日に発足する新会社「Hitachi Digital」のWebサイト。同社はAIを活用した企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する

    2027年4月1日に発足する新会社「Hitachi Digital」のWebサイト。同社はAIを活用した企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する

3万5000人規模の新会社、AI開発からシステム運用まで一貫支援

今回の統合は、日立が2026年1月に発表した米国子会社の統合計画に基づくもの。新会社の本社は米国カリフォルニア州サンタクララに置き、Anand Birje(アナンド・ビルジェ)氏がCEO兼Chairmanを務める。

新会社は880社以上の顧客にサービスを提供する。GlobalLogicが持つデジタルエンジニアリングの技術と、Hitachi Digital Servicesが持つエンタープライズシステムや運用に関する専門知識を統合することで、企業のDXを戦略策定からシステム構築、運用まで一貫して支援する。

具体的には、新たなデジタル製品やAI機能の開発、既存の基幹システムのモダナイゼーション、大規模システムの安定運用などを手がける。クラウド、データ、AIを組み合わせ、企業の事業成果につながるデジタルサービスを提供する方針だ。

また、フィジカルAI、データ、クラウド、SRE(Site Reliability Engineering)、エンタープライズアプリケーションなど、幅広い領域のサービスを展開する。

製造・エネルギーなどの産業分野でフィジカルAIの実装を推進

新会社の特徴の一つが、日立グループが長年培ってきたOT(制御・運用技術)とデジタル技術の融合だ。

Hitachi Digitalは、製造、モビリティ、エネルギーなどの産業分野を中心に、企業システムや業務を変革するエンタープライズAIと、現場設備や社会インフラにAIを組み込むフィジカルAIの実装を推進する。

その中核を担うのが、顧客の現場に入り込んでAIやデジタル技術の実装を支援するFDE(Forward Deployed Engineers)だ。FDEチームはAIスペシャリスト、データサイエンティスト、エンジニアなどで構成され、顧客やテクノロジーパートナーと連携しながら、複雑な企業システムや運用環境へのAI導入を支援する。

日立は、こうした取り組みを強化するため、日本国内だけで5000人のFDEを育成・配置する計画だ。

また、日立グループ自身を最初の顧客と位置付ける「カスタマーゼロ」の取り組みも進める。具体的には、日立エナジーや日立レールなどの事業部門にソリューションを提供し、FDEが変電所、鉄道、工場などの現場に入り込んで、業務ルールや熟練者のノウハウを収集する。

こうして得られた知識をAIデータ基盤の構築や、社会インフラ向けAIソリューション群「HMAX by Hitachi」の高度化に活用し、外部顧客へのサービス提供につなげる考えだ。

日立によると、Hitachi Digitalとしての日立グループ内のシナジー売上は、上期に前年比46%増加したという。

M&Aやパートナーシップ拡大を通じて事業成長を加速

Hitachi Digitalは、AI、データ、クラウド領域の人材への投資に加え、テクノロジーパートナーとの提携拡大やM&Aを通じて事業規模の拡大を図る。

主な対象市場には、自動車・モビリティ、金融、ヘルスケア、半導体、製造、物流、エネルギー、通信などを挙げている。

また、顧客の事業成果に連動する成果ベース(アウトカムベース)のビジネスモデルを採用する方針だ。AIシステムの開発や導入だけでなく、運用を含めた企業変革全体を支援することで、顧客の事業成果につなげる。

日立製作所 執行役副社長 デジタルシステム&サービスセクターCEOの阿部淳氏は、今回の統合によってエンタープライズAIからフィジカルAIまでを一貫して提供できる体制を構築し、Lumada 3.0の成長を推進する考えを示している。