IFSは、世界のエネルギー・公益事業者を対象とした調査結果を英国時間9月24日に発表。これまでサステナビリティや脱炭素化が中心だった投資の優先順位に変化が起きており、公益事業の経営層が最も重要な業務課題に挙げたのは「既存の送電網の信頼性強化」だった。
今回の調査は、同社の委託によりCensuswideが、世界の公益事業の経営幹部および上級管理職850人を対象に実施したもの。
IFSは、データセンターや電化の進展による“前例のない”電力需要増に加え、異常気象の影響もあり、公益事業が多方面から大きな圧力にさらされている実態が浮き彫りになったとしている。具体的には、老朽化したインフラや、料金負担の抑制に対する圧力、供給信頼性の課題を背景に、公益事業の経営層は「中核業務の強化とエネルギー転換の推進を両立する、よりバランスの取れた投資戦略への転換」を迫られているとのこと。
送電網については、異常気象やサイバー脅威に備えたレジリエンスの向上が求められている。既存インフラの見直しも進んでおり、26%が既存の送電網インフラへの投資を優先するため、保有資産のポートフォリオを積極的に再評価していると回答した。
産業用AIへの期待も高い。経営層の57%が、AIは運用コストの削減において非常に重要だと考えており、47%が資産パフォーマンスの最適化や電化に伴う需要増への対応にきわめて重要だと回答。再生可能エネルギーや分散型エネルギーの統合を加速するうえでAIがきわめて重要とした回答も46%にのぼった。
一方、新技術の導入はデータ基盤の課題によって妨げられている。49%が、業務データのサイロ化によってリアルタイムの意思決定が難しくなっていると回答した。資産ライフサイクル管理の能力を「高度」と評価したのは33%にとどまり、51%は資産管理システムを導入しているものの、サイロ化した状態で運用しており、予測機能も限られているとした。
需要の変動への対応や長期停電の防止に向け、蓄電池システム(BESS)や分散型エネルギー資源管理システム(DERMS)といった、送電網の柔軟性を高める取り組みが広がっている。クリーンなベースロード電源を継続的に確保するうえで長期的に最も大きな影響を与える技術としては、次世代地熱発電(22%)と小型モジュール炉(SMR、18%)が挙げられた。
同社エネルギー・公益事業担当バイスプレジデントのキャロル・ジョンストン氏は、サステナビリティは引き続き重要な目標としたうえで、数十年にわたる投資不足に加え、硬直的な料金認可制度や老朽化した送電網により、供給信頼性、レジリエンス、料金負担の抑制に同時に取り組まなければならない状況が生まれていると指摘。既存資産からより多くの価値を引き出しながら、新たな供給能力、送電網の近代化、レジリエンスの強化に的確に投資する、バランスの取れた戦略が必要だとしている。
